若田部昌澄「世界経済危機後に残る「奇妙な感覚」」in『公研』2014年7月号

 若田部さんから頂戴する。感謝。2008年から始まった世界経済危機はひとまず終焉した。しかしこの「終焉」には「奇妙な感覚」が残るというのが本論説のテーマ。この「奇妙な感覚」とは、「今回の経済危機は規模の点ではこれまでの経済危機を上回る可能性があった。それがこの程度で収まったことは危機対応が向上したからかもしれない。その意味では少なくとも経済学は進歩を遂げているともいえる。しかしカタストロフは防がれた一方、カタルシスもない。奇妙な感覚が残るゆえんである」、というものだ。

 現在の主流経済学は市場の機能を重視するが、それはまた今回の世界経済危機の発生を予防することに失敗した(批判的なものはまさに主流経済学が危機そのものだったともいうだろう)、しかし世界経済危機がカタストロフに至らなかったのは、この主流経済学がプラグマティックになりふりかまわず対策をたてたことにもある。そういう「節操のなさ」、つまりは主流経済学の学的権威が、それとはおそらく背反する世間知的な対応によってその学的権威自体が葬りさられることを回避したという、奇妙さということだろうか。

危機の経済政策―なぜ起きたのか、何を学ぶのか

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世界経済危機は終わった

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