ニコ・ニコルソン『ナガサレール イエタテール』

 2011年3月11日、宮城県の海岸沿いにある実家が津波によって流され、奇跡的に助かった母親と祖母と三人で、自宅の再建を達成するまでの日々を描いたマンガだ。編集から頂戴したが、この作品をまず読めたことが嬉しい。どうもありがとうございます。

 祖母は老人性認知症が進行し、また母親は震災後一年のちに癌を発症する。そして家の再建という難題も抱える漫画家の作者の奮闘は、マンガの絵の明るさと、作者のこだわりのなさというか自由な雰囲気に助けられて、変な言い方だが題材に比較してとても楽に読める。読了すると前向きに生きたくなる、そんなマンガだ。とはいえお説教臭さは微塵もない。被災地の生活をかなり詳細に描いていて、そこで暮らしている方々の思いが伝わるようだ。

 最近読んだマンガの中でも好きだな、この作品。

ナガサレール イエタテール

ナガサレール イエタテール