菊池誠・松永和紀・伊勢田哲治・平川秀幸&飯田泰之+SYNODOS編『もうダマされない「科学」講義』

 ご本頂戴しました。ありがとうございます。久しぶりにシノドス・リーディングが出ました。今回は自然科学が対象で、テーマは、東日本大震災以来、マスコミや世間で話題になっている原発放射能地震津波などにかかわる科学とそうでないものをめぐる話題、また科学的な了解と心理的・感情的な了解の差異が、全編にわたる問題としてとりあげられています。

 ちょっと多忙で、なかなか読む時間がとれずに感想が遅れて申し訳ないのですが、僕にはいろいろな意味で役立ちました。経済学もとりあえず科学的なものに入るので、その意味では、科学者がだいたい科学だと思っているもの、という尺度で、科学とそうでないものをグラデーションの違いで判別し、個々の事例を検討していく態度を示している、冒頭の菊池誠さんの論説が最も納得のいく、また情報量(文献や事例など)が多くて、便利なものでした。

 平川さんの論説も、安易なリスク比較に警鐘を示していることは興味深いものです。

 最後の片瀬久美子さんのデマの事例集は便利ですね。というかこの本では菊池さんの巻頭の論文とこの片瀬さんのまとめに非常にひきつけられました。なんで表紙に名前がないのか不思議ですね。

もうダマされないための「科学」講義 (光文社新書)

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