栗原裕一郎「村上春樹論の終焉」

副題は「そして象が平原に還った日(付「村上春樹ベスト5&ワースト5」)」とあります。栗原さんの書かれた村上論をここ最近、これで三本続けて読みました。編著である『村上春樹を音楽で読み解く』それに『村上春樹全小説ガイドブック』の中の音楽についての論説、そして今回の79年の村上のデビューから今日までの村上論の特徴とその変質についいての専門性の高い論説です。

村上春樹の小説のファンではあるけれども正直、村上のインタビューとかエッセイだとか、ましてや村上論にはほとんど興味がなかったのですが、栗原さんの論説を最近続けて読んできたのと、映画の公開が刺激になっていろいろ時間の合間に読んでます。

ところで僕は79年から読んでそのときから村上の小説が好きなのですが、80年に大学に入ったときは、文学関係のサークルにいたのですが、村上が好きだ、というと露骨にバカにされましたw。その露骨に村上をバカにする背景は、実は「文壇」というものの残響というか老廃物みたいなものを、当時の学生たちが真に受けていたせいなのかもしれません。ともかく大学時代に村上作品が好きだという人は僕の周りにはともかく皆無でした。この状況が変わるのは80年代半ば過ぎ以降でしょう。そこからはリアルに何人ものファンに出会いました。

村上春樹を音楽で読み解く

村上春樹を音楽で読み解く