いまのところの年度ベスト3(政治&経済)

 今年出た本で、ベスト3を政治分野と経済分野で選んでみた。経済は翻訳や未翻訳抜かして日本語オリジナルのものだけ。政治は未翻訳新刊でもあげた。もちろん自分の本(『デフレ不況』は選ばない)。

経済部門
第一位 片岡剛士『日本の「失われた二〇年」』

文句ないでしょう。理論的基礎がしっかりし、それを支える独自の実証分析。これだけの重厚な経済書、しかも時事的テーマをしっかり取り組んだものはちょっとない。第4回河上肇賞受賞作

日本の失われた20年 デフレを超える経済政策に向けて

日本の失われた20年 デフレを超える経済政策に向けて

経済部門第二位 岩田規久男『「不安」を「希望」に変る経済学』

 岩田先生ほど経済学の視点からきちんとした政策問題を論じられる人は日本ではほとんどいませんね。この本でも最新の実証分析を踏まえて、景気、社会保障、雇用問題など多様な問題を簡潔にとりあげてます。まだ、読んでない人は損してますね、絶対。

「不安」を「希望」に変える経済学

「不安」を「希望」に変える経済学

経済部門第三位 浜田宏一・若田部昌澄・勝間和代『伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本』

 面白い! 今年の1位から3位までは差がないというのが僕の読後感です。こういう本をリアルタイムに読めるのは幸せです。

 内容についてはid:finalventさんの書評が素晴らしいですね
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2010/06/post-49f2.html

伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本

伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本

政治部門第一位 上念司『「日銀貴族」が国を滅ぼす』

 日本銀行問題は政治問題である。この観点から、日本銀行と政府の財政問題両方について、徹底的にわかりやすさを重視して、しかも現状への辛辣な批判を踏まえた、痛快な読後感の残る本。論点明瞭、意図明白、論理聡明、といった感じで、長年の研鑽が実を結んだ一書です。日本銀行が政治問題ならば、それを解決するのは政治を動かすこと、そのための理論武装を提供した点でも快挙でしょう。政治を語る本とはそうでないといけません。

「日銀貴族」が国を滅ぼす (光文社新書)

「日銀貴族」が国を滅ぼす (光文社新書)

政治部門第2位 Cass R. SunsteinのGoing to Extremes: How Like Minds Unite and Divide

Going to Extremes: How Like Minds Unite and Divide

Going to Extremes: How Like Minds Unite and Divide


政治部門第三位 G.G.SzpiroのNumbers Ruleーthe Vexing mathematics of Democracy ,
from Plato to the Present

Numbers Rule: The Vexing Mathematics of Democracy, from Plato to the Present

Numbers Rule: The Vexing Mathematics of Democracy, from Plato to the Present