頂戴しました。ありがとうございます。上念さんの処女作『デフレと円高の何が「悪」か』は高い評判をよんだ。多くの読者が、日本の停滞の真因がデフレであり、それは自然現象でも外国のせいでもなく、日本銀行の政策のミスであることがわかった、との感想が多く著者のもとに来たという。
しかし少なくない読者は、「日銀ほどの優秀な人たちの集まりがこんな単純なミス(貨幣をより多く供給しインフレにすることを約束すればデフレ脱出)をするのはおかしいのではないか?」と感想を述べてきたという。
そこで著者の第二作は、このデフレと円高の元凶である日本銀行そのもの、そして国民の多くが持つ「日銀性善説」に深く切り込む内容となっている。
特に上念さんは日本銀行がなぜ「性善説」ならぬ、自らの政策の失敗を認めず、認めないどころか次々と事実を都合よく解釈し、責任回避を試みてきたかを、日銀総裁やその幹部たちの発言、さらに国会での質疑などを丁寧に紹介し、ときに突っ込みときにユーモアを交えながら、実にわかりやすく解説する。その語り口調は明瞭で、また本当に深刻な話題なのだが、笑を禁ずることができないほど面白い。
また日本の景気がよくなったり、デフレを脱出すると、財政崩壊するという論者をいかに退治するかの方法は、これは日常の会話でも使えるのでぜひ試してほしい。
日本銀行の問題はすでに経済学の問題ではなく、単なる政治の問題だ、という結論は重い。ぜひ読者は自ら本書を手に取り、日本銀行がなぜ「悪」なのか、理解してほしい。議論の時間は終わった。後は正すだけだ。
- 作者: 上念司
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/06/17
- メディア: 新書
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