ミュルダールの研究書

 ちょっと新学期が始まったり、そして次の出版予定になっている日本銀行についての本の校正作業とか、あるいはミュルダールの研究書の翻訳のチェック(関係者の皆様もうしばらくお待ちください)とかで、ブログを更新する時間を喪失しています。

 とはいえ、そのいま作業中のミュルダールの研究書は実に面白い。まあ、それはミュルダールが面白いということだけども。アメリカの黒人社会について分析した『アメリカのジレンマ』や、また『アジアのドラマ』などの著作は特に有意義だ。前者はいまのお金でたぶん10億円近く注ぎ込んだビックプロジェクトで、黒人解放運動にも少なからぬインパクトを与えた。後者の方は、長く経済発展論の古典としてあった。残念ながら前者は日本では未訳で、後者は縮小版が翻訳されているだけであるが。

 いま、ちょっとコミットしている都条例のように価値観の対立が激しい問題を扱うときにミュルダールの試行錯誤は非常に勉強になる。

Gunnar Myrdal: An Intellectual Biography (Great Thinkers in Economics)

Gunnar Myrdal: An Intellectual Biography (Great Thinkers in Economics)