宮尾氏の著作『コア・テキストマクロ経済学』の最後尾には、あたかも世論や論壇の一部が、日本銀行の金融政策を批判するがゆえに、その金融政策の効果が失われるかとも読める記述がでてきている。要するに、日本銀行を政策批判する連中は黙れば、それで日本銀行がましになる、というわけである。
ただの理解不能な意見にしか思えないが、少なくとも、日本銀行は政府から「独立」していても、別に民主主義や世論からの独立を担保されているわけではない。どんなに小手先のマクロ経済学の理解にすぐれていても、こういう人物が日本銀行にいっても、まあ、ただ大勢に従うだけで(それが彼の本の帰結だろう)要するに高い報酬と名誉をさんだつするだけではないだろうか?
僕はただの経済思想史研究者だが、このような人物が大挙、日本銀行の審議委員に結集していけば、それはそれでひとつの奇怪な思想の博物館を見学できるようで面白い。ただ僕も含めて国民は不幸だろうけど。
(付記)松尾匡さんは知人だから「リフレ汁」とエールを送っているが、それはお門違いもいいとこである。ご自身の友情のために、松尾さんのリフレ議論を支持する人たちを幻惑してはいけない。
(付記2)え? 与党が決めたら民主主義じゃないかって? 多数決の専制でかって日銀総裁をアホな理由(財務省出身だとか、伊藤隆敏は政府系委員だからだめだとかなど)でやりたい放題やってる連中に、そんな民主主義という立派な名称を与えてはいけない。

コア・テキストマクロ経済学 (ライブラリ経済学コア・テキスト&最先端)
- 作者: 宮尾龍蔵
- 出版社/メーカー: 新世社
- 発売日: 2005/10/01
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