国庫納付金とシニョレッジ政策

 twitterで今日ふと思ったことを書く。思いつきのひとつなので不可能だったら指摘してほしい。
 
 政府紙幣論というのがあるが、これはシニョレッジ(通貨発行益)をもとにした景気対策だ。簡単にいうと政府が独自に紙幣を発行し、その原価を除く部分を直接に景気対策に利用することである。これについてはこのブログの記事をめぐって、『週刊東洋経済』誌上から反論があり、珍しいブログ対雑誌の論争が発生したことがあった。

 ところで通貨発行益はもちろん日本銀行に生じている。これを毎期、国庫納付金として政府に納めている。ちなみに今年三月は2500億円弱と前年度に比較して半減している。旧日本銀行法では国庫納付金の額が景気後退期では増額し場合によっては税収を上回ったという指摘がある。今年の決算をみると新日本銀行法ではそのような恣意性はなくなっているという指摘がある。

 ところで下にリンクしたのが日本銀行法であるが、この国庫納付金の項目をみると第5項にかかわる必要な事項は政令が決めるとある。

参考:http://www.boj.or.jp/type/law/bojlaws/bojlaw1.htm#53

 国庫納付金のベースは日本銀行の剰余金であり、これは通貨発行益から日銀の人たちの経費や人件費、配当、準備金などを引いたものである。配当や準備金などは日銀法をみると財務相の認可など制約が厳しい。

 ところでひとつの思考実験だが、政令でこの国庫納付金の額を定めることが可能だろうか? 例えば財務相=政府が、政令で「2010年度中に2兆5000億円の国庫納付金を納めること」と執行命令を出すことが可能だったとしよう。5000億円がまあ通常の納付金だからそれに2兆円も上乗せされたことになる。つまりかって旧日銀法で暗黙にやられていたことを今回は明示的に政令の形で行う(コミットがはっきりする効果もある)。もちろん通常より増額の2兆円はそのまま政府が景気対策民主党が考えている様々な政策の財源になるだろう。

 そして日本銀行は当然、この通貨発行益を生み出すために既存の「日本銀行券ルール」の見直しなど急速にマネーを発行する必要がでるだろう。

 そこでここを読んでいる人に質問なのだが、私はもちろん経済法には疎い。以上のような政令で国庫納付金の金額と納付期限を定めることができるかどうかである。素朴な勘違いであるかもしれないが、ぜひお聞きしたい。御意見を待つ。

(付記)ちなみに日本銀行券の信用が低下するからだめ、という類の不可能論は必要ではないのでご遠慮願いたい。それとこの提案はもちろん非民主的な中央銀行へのプロテストの色彩が強い思考実験。もし納付しなかったら日本銀行差し押さえ まあこれは冗談だが笑。