岩田規久男『国際金融入門 新版』

 1995年にでた名著の新版である。もちろんその後の世界経済の情勢、アジア経済危機、日本の長期停滞、世界同時不況などを簡潔に説明するとともに、ご自身の参加された最新の研究成果(昭和恐慌研究など)、さらには日本の経済問題の根幹にある国際金融面での調整の失敗(浜田宏一岡田靖論文)を初心者にもわかるように解説した、懇切丁寧なだけではない、時論の書にもなっている。

 僕の大学の講義では、この本にも参考文献に挙がっている藤井英次氏のテキストを利用していたが、岩田先生のこの本をまず夏休みの必読書として学生に広くすすめたいと思っている。実際に国際金融の簡潔で読みやすいテキストはいまはほとんどないといっていいだけにこの書はお世辞抜きに本当に助かる。入門的な知識の整理ももちろん旧版をデータ、解説の面ですべて刷新して書かれている。

国際金融入門 (岩波新書)

国際金融入門 (岩波新書)