エコノミストと予測:雑感


よくエコノミストやなんかが今回の危機を予測できたできないから偉い・偉くないという話がある。

 しかしもし一部のエコノミストが今回の予測をあてていたとするならば市場を出しぬいているわけで、彼はなんで予測に基づいて、「100年に一度の危機」に見合うだけの巨万の富を得ることができていないのだろうか?

 その予測をあてたエコノミストがその予測をもとにして巨万の富を手に入れたというのは寡聞にしてきかない。せいぜいその予測をあてたことで事後的に本の依頼がきたり講演が増えたり、発注がふえるぐらいの「しょぼい」ものだろう。

 もし彼(彼女)がみずからの予測があたると真剣に思うのならば危機の発生時点で資産取引で100年に一度くらいの富をなぜ収奪できていないのかおかしいことになる。

 つまり予測をあてたと称賛されているエコノミストや経済学者も実は真剣にあたると思っていなかったのではないか。あるいは予測はあてても富を得ることができなかった愚か者だったのではないだろうか?

(追記)途中まで書いて急用で出かけたので続き。というわけで、エコノミストを予言のあたりはずれで、過剰に評価する風潮があるが、わざわざこんなことを書いたのは、そういう風潮は「予測至上主義」であり、まったく反経済学態度でるあるということを思い知るべき。多くの経済学者はもちろん絶対確実に自分たちの予測があたるものと真剣に考えてもいない(蓋然的な判断でしかない)し、同時にその予測をもとに億万長者になろうとも思ってはいない(経済学の予測と金儲けは別物だから)。それでも東谷暁とか一部の時論のセンスのないケインズ研究者たちが、予測でもってエコノミストや経済学者を過度に評価する一基準にするならば、なぜその予測をたてた人間がそれで大儲けしてないかぐらい考えてから評価にすべきだろう(笑)。