寺田亨&ジャン=ダヴィッド・モルヴァン『プチ・モンド』

 メビウス論の準備でいままで完全に穴になってた藤原カムイ氏のマンガを読んでる。氏の最新の連載であり、初回にメビウスを含むマンガ家の系統樹が描かれていた『Roots』という自伝マンガがあるけれども、その掲載誌『JC.COM』(1〜3号まで既刊で各号に掲載)を読んで感心したのが、藤原氏の作品ではなく、冒頭にあげた寺田・モルヴァン組の『プチ・モンド」。

 近未来の格差社会を背景にした、ロミオとジュリエットの凶暴ブレードランナー編(電脳夢見もある)とでもいう話なんだけど、これがとても面白い。絵もスピード憾と解放感があって好きだなあ。特に高速道の逃走シーンやすり鉢状の地下都市の描写とか。原作はフランスのマンガとして先行して出版されていたのは知ってたけれども、これだけレベルが高いものとは知らなかった。すでに同雑誌(書籍扱いみたいで、隔月刊)で第1巻の大半が終わり、次号で第1巻は終わり。フランスでは第2巻が出ている。翻訳のスピードが速いので僕はたぶんこの雑誌で読む。


 同じ原作者の『Sillage(シヤージュ)』というのもあってこれは世界最後(推測)の人間(女の子)の恒星間大冒険譚を描いたもので、僕はまだ第1巻しか読んでないけれども、これもスピードと空間的な解放感を、描き手が違うにもかかわらず共有している。なかなかおススメ。


 しかし『プチ・モンド』はかなりの拾いもの。寺田氏は月産2枚!というけれどももっと作品を読んでみたい。

JC.COM 3

JC.COM 3