民主党の金融危機対応の経済政策を(竹森・クルーグマン・テイラー風に)評価する

 竹森論説を参考にして、では次期政権の有力候補の民主党金融危機対応政策をみてみよう。竹森評価だと
減税や補助金景気対策としてはムダか、あるいは効果がきわめて限定的ということだ。そして公共投資乗数効果があり、なおかつ無駄な公共投資であればさらに望ましい。

民主党の当面の政策を以下にコピペして、竹森評価からその適否を→の先に○△×で書く。×は竹森評価ではムダかきわめて効果ない、ということ。△は中立的か評価不明、○は効果あり。

http://www.dpj.or.jp/news/?num=14667

.生活を守る経済対策(内需拡大策)

(1)「子ども手当」法案(今国会提出)…子ども・男女 →×
 平成21年4月より、「子ども手当」を実施する。
 なお、平成21年度の支給額は別途検討する。

(2)高速道路の無料化法案(通常国会提出)…国交 → ×
 平成22年度より都市部を除く高速道路の料金を無料化する。
 あわせて、平成21年9月からの予算措置による無料化実施を検討する。

(3)道路特定財源暫定税率廃止・減税(今国会提出)…財金(税調)、総務 →×
 平成21年4月より道路特定財源暫定税率を廃止し、ガソリンで25円、軽油で17円引き下げる。あわせて、道路特定財源一般財源化、国直轄事業に対する地方負担金制度廃止を実施する。
また、「ガソリンスタンド対策法案」に基づき、暫定税率廃止時のガソリンスタンドの負担を軽減する。

2.直面する課題への対応

(1)フリーター就労の支援等(今国会提出)…厚生労働 →△
 元派遣労働者のフリーター等の安定就労を進めるため住宅支援、雇用保険の給付要件見直し、偽装雇用防止対策など非正規労働者の就労促進、労働条件等を確保する。

(2)「中小企業いじめ防止法案」(今国会提出)…経産 → ×
 大企業の中小企業に対する「抱き合わせ販売」「不当な値下げ要求」などを禁止し、これを担保するために公正取引委員会に勧告権を付与する。

(3)「金融アセスメント法案」(今国会提出)…財金 → ×(景気対策には直接関係なし)
 地域への寄与度や中小企業に対する融資条件などの情報公開を金融機関に義務づけ、金融機関間の公正な競争を促すと共に、貸し渋り等を防止する。

3.補正予算で実施すべき緊急対策

(1)中小企業の信用保証枠の拡大(7000億円) → △(クレジットビューの竹森さんだと評価どうなんだろ?)
「特別信用保証」制度を復活させ、信用枠30兆円を確保する。セーフティネット融資(原油高騰関係)の既往貸付の繰延返済を認めると共にセーフティネット信用保証の対象業種を900業種(創業後3年以上)に拡大する。

(2)税法関係(3160億円+α) → ×
[1]中小企業向けの法人税率の半減(3000億円)
[2]中小企業オーナー課税の廃止(160億円)
[3]海外子会社からの配当の益金不算入措置
[4]平成4年度から凍結されている法人税の繰戻還付凍結の解除(試算中)

(3)雇用調整助成金の大幅拡充(労働保険特別会計) →×
 指定要件緩和、助成割合引き上げ、支給日数の延長等により雇用調整助成金の使いやすさを高め、失業の発生を事前に予防する。

(4)その他
 その他雇用、医療、介護を中心に補正予算で実施すべき政策について、野党間で協議を進める。

 というわけで竹森評価でいうと、民主党はまるで米国のブッシュ前政権のような減税・補助金のオンパレードで景気対策を狙っている。竹森、クルーグマン、テイラー揃って民主党の現行の政策にはゼロ点が与えられそうである。しかし民主党の政策オプションをみるとすごい気合の入ったサプライサイダーであることが今回なんとなくわかった。

 ちなみに自民党につついては以下のエントリーを参照。