財政ラグと民主党の補正予算執行停止など

 誰か指摘すると思うけれども、補正予算の執行を停止して、それを次年度(よくわからないけど今年度もやるの?)の予算に再配分して、子育て手当などに回すといういまの民主党の動きについて。

 財政政策にはラグ(時間の遅れ)が存在するのはよく知られていて、ましてやいったん決まった予算配分の執行を停止してさらにまた再編成する、ということはかなりなラグが生じることになる(財政政策に関する数種類のラグについてはマクロ経済学の教科書参照)。二兆円規模の予算の執行が今年度中に行われないという損失に加えて、その分が次年度に行われるときに発生する財政ラグがもたらす損失も勘案しなくちゃいけない。

 そうなると昨日のエントリーを少し修正しなくちゃいけない。「予算再編成」は景気への効果が編成前と編成後でプラスマイナスゼロとか書いたけど、予算の再編成前の景気に与えたであろう効果と、予算再編成後の景気に与える効果は、後者の方が前者よりも小さい可能性がある。こういうラグのもたらす「予算再編成」のラグがもたらす損失は考えなくちゃいけないだろうし、無視できない大きさだろう*1

 個人的にはアニメの殿堂とかの予算執行はいかがなものか、と思うものもあるが(笑)、日本経済のことを考えると民主党はこのまま予算を執行した方が国民のためになるんじゃないかな。そして子育て支援他の財源については、やはり日本銀行と徹底的に議論してアコードを結んで長期国債引き受けのもとで数年にわたる景気対策を構築する方が、国民にとって好ましいと思うんだが。まあ、もうこう指摘しても手遅れかもしれないけど。

図説 日本の財政〈平成21年度版〉

図説 日本の財政〈平成21年度版〉

*1:財政ラグの存在は政権与党への支持率や、公衆の消費マインドにもマイナスの影響を与えるだろう