町山智浩『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』

 光文社からだと思ったら文藝春秋社なんだ。面白いエッセイ。でも帯のビートたけしおススメという水道橋博士の推薦文を読んで微妙な気持ちが。それでたまたま目に最初に入ったのが終章の文句「それにしても、日本はアメリカの国債をいちばん買ってあげてる、いわばスポンサーなのに、いつまでもアメリカの要求を一方的に呑むだけでいいのかね」というまるで朝生の五分間で見た政治家たちや、奇妙な提案に拍手喝采していたおかしな人たちと同じものを感じてしまってドン引いたが……中味はたいへん面白いエッセイ集。たぶんほかの人は誉めるだろうから誉めるのはまかせる。

 読んでて思ったのは、ブッシュ批判も面白いのはいいんだけれども、本当にサブプライム問題、医療問題、経済格差問題がブッシュ政権負の遺産なのかというとどうなんだろうか? 民主党オバマの政策ってマケインよりまともでブッシュの負の遺産を解消できるのだろうか? などと本書を読みながらいろいろ思った。まあ、アメリカの負の側面よりも僕はいまのアメリカの経済政策と危機の対処は、初めから書いてるけれども、それは100点満点じゃないけれども、そのスピードとレベルは、ここ数日がっくりさらにきている日本の政策よりも格段にまし(つうか次元が違いすぎ)。ブッシュ批判は日本では奇妙に「反米主義」的なナショナリズムとドッキングして「だめなアメリカ→サブプライムもアメリカがだめだから→アメリカ帝国だとかドル基軸の終焉」などという阿呆な話に結び付きやすいので、町山氏のエッセイの面白さだけに安住していてはだめなんだろうなあ。まあ、でも面白いしお手軽価格ですのでおススメ

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)