全裸で銃(ガン)をもつ危険なやつ―ゴードン・リー事件と『The Salon』


 boxmanさんのブログのエントリーから

 アメリカの警察や検察は暇だとしか思えない
 http://d.hatena.ne.jp/boxman/20080328


 :2004年のハロウィーン、ゴードン・リー(Gordon Lee)のコミックショップ「レジェンド・オブ・ローマ(Legends, of Rome, GA)」はローマ市ダウンタウンでのハロウィーンイベントにフリーコミックスの配布で参加していた。このイベントで配布されたフリーコミックスの中にオルタナティブミックス社が発行した2004年のフリーコミックブックデイ(訳注:アメリカのコミックショップが合同でおこなっている年一回参加出版社から提供される無料コミックブックを配布するイベント)用の『Alternative Comics』#2がたまたま紛れ込んでいた。このコミックブックはその日配布された数千冊のコミックブックのうちのたった一冊に過ぎない。それがたまたま未成年者の手に渡り、その両親が警察に不満を訴えた。
このコミックブックはオルタナティブ社のさまざまなコミックスからショートストーリーを集めたアンソロジーで、その中のひとつにニック・バートッツィ(Nick Bertozzi)が著名な画家ジョージ・ブラックとパブロ・ピカソの出会いを描いたグラフィックノベル『サロン(The Salon)』からのエキサープトが含まれていた。その8ページのストーリーのうち3ページに渡ってピカソはヌードで描かれている。正確にいえばそのストーリーのあいだ彼はずっとヌードである。ただ、このストーリーの中に性的な要素はない。
このコミックブックの誤配を知り、リーはその誤りを認め、公的な謝罪を何度も求められた。しかし、その謝罪は認められず、その後彼は逮捕された。(「CBLDF- Articles: Gordon Lee: The Road To Trial」):


 boxmanさん曰く:「児童保護」には国際協調が必要なのかもしれないが、本当にこういう価値観と協調したいのか、すべきなのか……その程度の疑義はなにがしかの主張をする前に持ったほうがよくはないのか。:


 ところでこの問題の『The Salon』は届いたので少しだけ読んだ。ピカソが全裸で絵を描いているだけでありなんということはない描写だ。作品としては、ピカソら芸術家を巻き込む幻想的な殺人事件をめぐるものであり、芸術性の高い内容だろう(ちょっと書体が凝ってて文字が小さく行間が狭いので老眼にはきついかも 笑)。同じ著者の作品の一部がここhttp://www.nickbertozzi.com/comics/houdini/で読めるがそのハイレベルな作風が少しわかるかもしれない。

 
 どう読んでも僕の価値観では何年も裁判沙汰になるようなしろものとはとても思えないのだが。基本的にこの漫画の全裸で絵筆を握っているピカソがやばいとすると、次のもっと過激な


 全裸で銃をもってるへらへら笑ってるやつの方がもっとやばいと思うのだが


 いや、この問題は少し真剣に考えた方がいいので最後のおふざけはなしとしてほしい。

The Salon

The Salon