(麻生太郎推薦)川口盛之助『オタクで女の子な国のモノづくり』


 献本いただくどうもありがとうございます。


 「かわいい」や「女の子っぽい」という感覚的な差異を、最近の日本のさまざまな製品に見出し、そこに日本の文化史を援用して、日本型オタク製品の素晴らしさを見出そうというユニークな本です。そのオタク精神を刻印された「製品」のレパートリーは幅広く、小は「ペンまわし」(笑)から大はつけ耳をしたとしか思えない最新(萌え)新幹線車両まで実に話題が豊富です。そして各オタク製品を歴史的な視点から見たおたく進化のフロチャートや、大胆に分類された四象限マップがネタ的に投下されていて、読み手の脳髄を刺激します。


オタクで女の子な国のモノづくり (講談社BIZ)

オタクで女の子な国のモノづくり (講談社BIZ)


 そして断言しましょう。この本は、かのメトロン星人の赤いののオタク論版であると。さまざまな箇所で論争と賛嘆と誹謗と突っ込みと「感服いたしました」が必至です。麻生太郎外相が(昨日から舌禍問題に陥ってますが)本書を強く推薦するのもわかる強力な磁場を発しています。オタク論に一家言ある人は萌え、いんや燃えること請け合いです。優れたコンサルタントが仕事の延長として、オタク論を展開するとどうなるか、その成果は(従来のオタクを怒らせないオタク論者が主に書いているという閉塞しがちなオタク論を相対化する意味でも)一読しておくべきでしょう。


 それにしても今日の日本が比較優位を確実に有している「オタク」系あるいは「女の子」系製品のこれだけ包括的でリーダブルな書籍はあんまりなかったなあ。