企画をお聞きしたときは、もっと軽快な本の印象だったのだが‥‥。これだと自分が何主義かは、いま流行りの血液型の本でも読んだ方がいいだろう。非常に読みにくく、また読み手の多様性に適応するというよりも、橋本氏のさまざまな「主義」メニューを読まされているだけだという読後感が強い。
- 作者: 橋本努
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/08/08
- メディア: 単行本
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むしろ、自らの「主義」を知りたいのならば、以下の本を読んで民主主義と自由主義の闘争という昔ながらの論点を突き詰める中で、自らの思想的?位置を確認したほうがいいのではないだろうか? この本は予想外の力作であり非常に参考になった。
- 作者: 森政稔
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/05/01
- メディア: 新書
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この本の簡潔な書評赤間さんが書かれているhttp://d.hatena.ne.jp/akamac/20080623が、この本の提起した論点を考える上で、本ブログでもとりあげたミルトン・フリードマンの香港論における「政治的自由」についての発言を照らし合わせると面白いかもしれない。
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080719#p3
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080723#p1
この論点についてhicksianさんが補ってくれた。
http://d.hatena.ne.jp/Hicksian/20080719#1216454521
これをみるといわゆる「新自由主義」の代表として表現されている(この修辞に伴う日本的色彩は拒否するhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20061125#p3などを参照)ミルトン・フリードマンの民主主義≒政治的自由に対する最晩年の見解が明らかにされているようだ。
しかも興味深いのが、この香港の経済的成功をもたらし、なおかつ政治的自由を経済発展の必要条件から外すと、彼が考える上で、決定的な役割を果たしたのが、Cowperthwaiteの経済運営である。ある意味で、フリードマンは彼の手腕に期待することによって、経済的自由の実現の前提条件に一種の賢人政治を想定しているのではないだろうか? ここら辺は興味深い論点のように思えるがどうだろうか?