日本トンデモ大賞、『日本型ヒーローが世界を救う!』は救われないの巻


候補になるも、プレゼンの失敗(トンデモでないのであたりまえだが)で受賞を逃す。アメコミ研究の必要性を再確認



 コメント欄に実況中継してましたが、まあ、あんなものでした。増田さんに代わって受賞したらなんかもらえるなら代理でいただいて増田さんにお渡ししようと思いましたが。ちなみにトンデモ本大賞の趣旨を真にうけて僕はこの本に一票投じました。こんなに長く楽しませてくれた(大半は旧ブログの「アメコミのプロ」たちの発言に呆れてましたが)増田本の偉大さに敬意を表するためにね(^^)/。


 で、ほかの作品が面白かったなあ。肝心の山本弘氏の増田本についての説明が、細部の間違いしか指摘できず、この本が「トンデモ」である、というプレゼンに失敗していたと思います。それになんか全体に説明が暗い感じで、これはぜがひでも否定したい執着心が巻き起こした暗さかもなあ。まあ、もともとが山本氏が強調したい意味での「トンデモ」本じゃないから。


 それと山形浩生稲葉振一郎両氏を批判するのはご自由ですが、会場でほかのひな壇にいた誰かエライ会員の発言で匂わせてたような、僕らが仲間うちで増田本をぜひほめないといかん、なんて必要も義務も戦略もなんもないっすからご心配なく。


 むしろここや旧ブログででてきた「アメコミのプロ」といった山本氏のお友達を弁護するために、必死にトンデモ本にする必要性に駆られていたのは山本氏なんですよねえ。


 ところで壇上のエライ会員さんが、「スパイダーマンなどのアメコミは壊滅的になってるのに(ということを知らない増田本はトンデモ)」みたいな趣旨をおっしゃってましたが、あの〜〜、まさにそれが増田本の主張なんすけどもwwwww


 あと細かいところですが、山本氏、ワーサムの原著やその周辺資料もたぶん読んだことないのに言及しないように(聞いてるこっちが恥ずかしいから)。だって増田本のロビンホモセクシャル発言を「トンデモ」扱いしてましたが、あれって議会でワーサムの本を援用してきた人たちの言い草なんで、それを増田さんは敷衍しているんだよなあ。本当、情けないよ。つうかもっとアメコミちゃんとやらないといけないのかも。「(増田さんは)高円寺いってないからアメコミしらない」ってレベルで喜んでるへんな人も壇上にいたけどもうなんだか(苦笑)。


 しかしプレゼン、調子が暗かったよなあ。他のが自然とwはじけていただけに。得票は大賞が独走してしまい、増田本の票数は最下位かびり2か、ちょっとわすれたけど。


以上、おおまかなご報告。以下は細かいところ。


(補足)『トータリー・スパイズ』がフランスのアニメで、増田本の書いてるようにアメリカのアニメではない、と山本氏と壇上のエライ会員(ほとんどのエライ会員の名前知らない)が断言して笑いとばしていたけれども、とりあえずフランスのwikipediaをみると、これはフランスの制作会社がつくり(増田本が書いたように『チャーリーズ・エンジェル』などの影響顕著に)、最初にアメリカで放送し、その後にフランスで放送している。つまりこの作品をフランスのアニメとみるよりもフランスの会社がつくったアメリカ向けのアニメとみたほうが正解では?*1

http://fr.wikipedia.org/wiki/Totally_Spies


 で、増田本ではこのアニメにおける『チャーリーズ・エンジェル』および伝統的なアメコミでの女性像の影響が注目されているので、この難しい国籍問題(笑)にはいっさいコミットしていないことを強調しておきたい。つまりここでも山本氏とエライ会員の指摘は不適切であろう。


(補2)山本氏の細かい間違いの指摘や突っ込みも突っ込みになってないので、会場では「草薙とベティ・ブーブ似てねえ」で笑いをとってたけど、増田本では外見が似ているという話じゃなく(誰でも似てるなんていうわけないだろw)、性格付けに関しての類似性を増田本はいっていたのである。読んでねえ、会長w。

参考:http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20060819#p2


(補3)「アメコミにチームものがないとあるが、『X-MEN』読んでねえ」という話をしてたけど、これって増田本の集団主義の定義からいえばおかしいのはアメコミ論戦でもどっかでふれた話題。「『X-MEN』読んでね」というのは論点にすらならない。ついでに「ケダモノと一緒に闘う日本のアニメってなにがあるんだろ?」とかいってたけど、本を読めば、それはケダモノでどんなものを想像しているかしらないけども(笑)、まずは『ポケモン』でしょうw


(補4)山本氏は「オノマトペは日本だけ、という増田本はトンデモ」みたいなこといってたが、これも増田本では日本のオノマトペが高度な技で、アメコミのは定型化していてつまらない、と書いてるだけ。


(補5)大塚批判も読み違い。増田本は大塚氏を“俗流”進化説を採用しているから問題だ、と書いているのではなく(だって増田本も“俗流”進化説を採用していますから 笑)、その大塚氏の援用の仕方が問題だ、と書いてるだけ。


(補6)司会の落語家の方が飯田泰之先生に声も外見も似てたのは、ここだけの秘密です。

 あ、大賞の本。結構うけたので古書で1冊買ってみる。ところで時間がなくて省略されてたけれどもベンジャミン・フルフォード氏の本が二冊(これとか)候補外で一瞬紹介されかかっていたこともお知らせしておきます。あと歴史関係では河村望氏の本とかも(これだったと思う)。

*1:http://en.wikipedia.org/wiki/Totally_Spies%21ではフランスの制作だけども、アメリカのアニメとみなしていい、とも現在の記述ではなっている。日本版やアメリカのwikipediaでは、フランス版では書いてある放映順の情報はいまのところかいてない。制作会社のマラソンでチェックしたが最初に2001年に米ABCで放送されたとある