近所の本屋で購入。いままで読んでたのも読んでないのにも、盛りだくさんの新注*1を付して、ブログへの懐疑を加えたw文庫版あとがきもくわえ、さらに宮崎哲弥氏の『走れ! タカハシ』(ふ、古い)みたいな激励文までついて、かなり読ませます。
面白いと思ったのは、「消費税7%」*2「ネット国家民営論」「平和」*3「選挙権を売ろう」「セックス」「まだ見えない」「ニヒリズム」である。
- 作者: 山形浩生
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2007/04/01
- メディア: 文庫
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ところで本書にはちょっと深刻で最近他人事ならずの記述もある。
「ぼくの書く文は、中高時代の自分で読んで何の苦もなく理解できたであろう水準にあわせて書いているつもりだけれど、最近とみにネットでの反応を見ていると、それが要求水準としてあまりにも高いのではないかと感じるようになっている。もちろんネットであれこれ書いている連中の相当部分は、普通では××すぎて意見や文章の発表機会なんか決して与えられないはずの××××だということはある。ネットが使えるからといって頭がいいわけじゃないのだ。かつての(本書の単行本版が刊行された当時の)掲示板文化であればネットを使い掲示板の議論に参加するためのハードルはそれなりに高かった。今は……推してしるべし」
実際には僕は90年代の掲示板文化を知らないのだが、それでもこの山形さんの記述と、前にこのブログで書いた釣り系ブロガーの研究*4でも明らかにしたこととかなり符合しているように思える。もちろん山形さんも書いているけど、高度な商品を売る工夫がもっと必要なのはいうまでもないし、その努力不足をいつも克服しようとしているのは、これこと僕には執筆だけではなく、それこそ本業が直面している事態でもある。
しかし山形プロジェクトというものが存在するとして(実はそれにかなりの部分共感しているオレ田中の意見も含めて)、そのエッセンスのほとんどがノージックのかの名著『アナーキー・国家・ユートピア』の見えざる手実例集のエントリーの世紀末あるいは新世紀ヴァージョンではないか? ということに最近いまさらのように気がついたのである。ここで山形本でブログの特徴として指摘された「まわりの視線を意識しつつ意識しないふりをして物欲しげな独白にふける」ことをお許しいただければ、ノージックの最小国家論と配分的正義の議論をどう考えるか、というのはこのブログや旧ブログでのフランク・ナイトやシャックルについての皆さんからのコメントのいくつかが実に重要だということにも気がついた今日この頃であるよ(山形風であるよ体の採用。ちなみにこの点での議論の延長はたぶん若田部昌澄「失敗の経済学」あたりが解き明かしてくれるのかもしれないししないかもしれない)。
ところで09年でこの山形プロジェクトが終わるという山形・宮崎カキコはやはりマクロス戦勝記念に向けてのネタに違いない、と思ったそこの人! 相当、やばいと思います。以上。