フィナンシャル・タイムズ利上げ反対論説


http://www.ft.com/cms/s/f5a8a8ea-e60a-11db-9fcf-000b5df10621.html

日本語の要旨はここ(リンク先は将来切れると思うのでそのときはこの行は削除)

 結局、デフレギャップがなくなったという日本銀行や政府の公式見解とは異なる、ということでしょう。失業率の高止まり、家計消費の伸び悩みなどすべてそれで説明できることだと思います。教科書的になんの不思議なこともないと思います。擬似的なテーラールールで手元で簡単に試算したら最適なコールレートは(オークン法則、構造的・摩擦的失業を3%*1適用すると)まだマイナスではないかと思われます。


 なお日本銀行の公式見解である正の産出量ギャップの存在をめぐっては、昨年の日本銀行のコンファランスにおけるマッカラムの次の発言も引用しておきます。


<私がどうしても取り上げなければならない悲観的な点がもう1つある。白川氏は、 日本の産出量ギャップが最近では正の値となっていること、すなわち生産量が潜在的レベルを少し上回っていることを報告した。これは私には驚きに思えたので、日 本銀行の最近の関連公表物である伊藤ほか[2006]をみた。それは構造的失業率が 現在約3.7%と推計されているという重要な事項を含んでいる。これは1975年から 1991年までの失業率の約2倍である。この構造失業率の推計値の主な増加は1992年 から2002年までに生じている。これは実際に失業率が上昇した時期と同じである。 この失業率の上昇が実際は構造的なものではなく、名目需要の低い成長率によって 引き起こされたとすると、この産出量ギャップの計測法は概念的に正しくなく、日 本経済はまだ潜在的な成長レベルまで回復していないことになる(そうした推計エ ラーの可能性は、伊藤ほか[2006]8頁でも言及されている)。さらに、もし1996〜 2005年までの労働力率の相当程度の下落(すなわち、63%から60%への下落)自体 が、人口動態の影響によるトレンドではなく需要の低迷によって引き起こされたと すると、真の産出量ギャップという点では状況はさらに悪くなるであろう。要する に、日本銀行の同論文執筆者たちは分析上、要素分解やトレンド除去(disaggregation and detrending)のステップを踏んでいるものの、私はこの産出量ギャップの新し い計測方法の妥当性についていくつかの懸念を持っている。私はこの懸念が見当違 いであるとよいと思っている。>

*1:たぶん2%台後半が妥当な数字ではないかと思います