来年は朝河貫一没後60年


 昨日、偶々知ったのだがイェール大学で国際シンポジウムが企画されているらしい(伝聞)。朝河貫一の業績は『日本の禍機』程度しか知らないのだが(これは専門研究の弊害かもしれないが、福田徳三や私が関心をもつ経済学者がなぜかこの人物を議論していないのが一因かもしれない。不勉強だなあ)、うかつだったのだが太平洋戦争中、イェール大学でアービング・フィッシャーとの書簡のやりとりで、日本の将来と現状について以下のように書いている(阿部善雄『最後の「日本人」 朝河貫一の生涯』(岩波現代文庫)より引用)。


東条英機内閣辞職、小磯ー米内内閣成立をうけて)「中略 今日、日本を大きな破壊に導きつつある国家方針の誤りについて、目覚めようとする動きがあるとはいえ、日本の政治思想はなお悲劇的に未熟であるため、そうした自覚も、まだ十分な平明さと確信までは達していず、権力にたいする人々の正当な反対の権利はないに等しい。およそ日本人は、自然の変化や他人の感情にたいする繊細な理解力に恵まれているが、その反面、たくましい政治的な度胸をもった自由主義者ではない」。