アダム・スミスの新しい伝記 


 マンキューブログで知ったもの。


Authentic Adam Smith: His Life And Ideas (Enterprise)

Authentic Adam Smith: His Life And Ideas (Enterprise)


 スミスが市場経済のすばらしさだけを主張した経済学者である、という通常のイメージを訂正することを意図した簡潔な伝記。ただし内容的には目新しいものはないと思う。フランス滞在期やヒュームとの関連、スミスが直面していた農業や手工業中心社会からの彼の著作に与えた影響への注目、単純な自由貿易家ではなくて(本書では触れられてないけど不完全市場を前提にした余剰はけ口論みたいな考えを前提にした)政府の規制や介入の正当化も考慮していたなど、こういった論点は専門的にはもっと立ち入ってスミス研究では触れられていることと思う。


 とはいってもハンディーなので一読しても損はないと思うけど。ちなみに田中はその昔、下みたいなの訳してます。


アダム・スミスの失敗―なぜ経済学にはモラルがないのか

アダム・スミスの失敗―なぜ経済学にはモラルがないのか