finalventさんのところで森有正氏についての話を読んで、マイナーなネタを思い出した。僕の処女作が『沈黙と抵抗』というマルクス経済学者(だけじゃないが)である住谷悦治(元同志社総長、ジャーナリスト)の伝記であることはほとんど知られていない(ええ、そのほかのも知られてませんよ、なにか?w)でしょうねw。
この住谷悦治のご子息の住谷一彦氏(大塚久雄の弟子)が独逸で大学教授の職につけるチャンスがあったときに、当時パリにいた森有正にこの就職の件について、深夜のカフェで相談したことがあったそうだ。これは一彦氏ご本人からインタビューで聞いた話。このとき森は自分の異国での苦労を話したあとに、「外国人がその国の人間をおしのけて職を得るとなると、君はいままでと同じように研究できるとはかぎらない」という趣旨のアドバイスをしたそうだ。
この森のアドバイスもあって結局、一彦氏は独逸で教授職を得ることは断念したという。異国で生きてきたものにしかわからない説得力があった、と一彦氏は僕に語った。僕からみるともったいないように思えるが。ともかく森有正といえば、この妙に慎重なアドバイスを思い出すのだ。
ちなみに部分的にしか読んでないのだが、森有正の別様の人生相談(森からその人がうけた影響の記録)は以下にもある。
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