海外労働経済情報

 こんな組織いらない、といった手前、堂々と紹介するのはいかがなものかと思うが 笑。 

 それでもこの情報の提供は便利なのでご紹介

 http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/mokuji/mokuji_top.htm

 特に最近の主要先進国の雇用状況、景気対策がまとめて日本語で読めるのはありがたや。

麻生首相は辞めない。の巻

 昨日の昼前、山形さんから問い合わせのメールが来てて、それに長めの返事を書いていたら、知り合いの(政治や経済にコミットするのに関心ありまくりの)女性から電話。興奮ぎみに「田中さんは民主党に協力する気がありますか」とのこと。


 いや〜特定政党よりも、僕は議員個人ベース(その人の政策観ベース)でしか協力はしないのれす、とつれない返事をしたら、ひどく不機嫌あるいは不興だったみたい。そんなに不機嫌にさせたのも申し訳ないのでちょっと時間を割いて、最近僕が思っている政治雑談をした。


 まあ、最も重要だよな、と自分で思ったのが、麻生首相は絶対に辞めない、ということだ。憲法の規定が許すギリギリまで在職するだろうw と僕は語った。それが電話の相手をひどく驚かしたようであった。


 予算案が通ればあとは秋まですきなだけいれるw 条件としては、何か前むきなことをやるのではなく、「やらないこと」である。定額給付金がばら撒かれれば、日本国民の自己欺瞞な感情(定額給付金には反対だが、もらうと嬉しいし使う)を少なからず満たすだろう。


 もちろんその一方で、僕のいいかげんな見積もりでいくと秋までに完全失業率は5%を目前にしているだろう。しかし他方でアメリカの方が少なくとも改善の兆しがあることが日本の株式市場にも一服感を与えているだろう。不安はあるが危機とまではいかない状態が秋までの日本経済ではないか、と楽観的にはいえる。


 その漠然とした雰囲気の中で、麻生政権はちんたらちんたら続くに違いない。これは意外と民主党にとって生煮えになる可能性を秘めている。なぜなら今般の政治不信の多くが、自民党だけではなく民主党に向けられても感じられるし、国民的な広範な支持がまだはっきりしていない。漠然と次の選挙で民主党が勝てると思っているだけだろう(国民の多くが)。しかし問題はどれだけ勝つか、ではないか。僕は麻生政権のちんたらぶりに国民が馴れきってしまい、緊張が弛緩した段階で選挙が行われれば、ひょっとしたら衆院与野党逆転は微妙なところでない可能性も捨てきれない………


 などと週刊誌かテレビの論評の見すぎみたいなことをいって電話を切ったら、いつの間にかメールのアカウントから出てたらしくてw 知らずにメール送信したら、下書きも残らずおじゃん(苦笑)。


 でもこの話のオチは、要するに麻生首相がまだやめるまで時間があるってことは「民主党になったら大恐慌?」とか「郵政民営化の是非を問うて小泉グループが政界再編!」とか、じゃなくて、この経済的な危機をどう乗り切るかの政策論議を活発化させる時間ができたということなんだと思う。


 いま、麻生退陣で、新首相選出、そして速攻選挙にでもなれば、素直に観察する範囲では、与野党ともまともな経済政策が採用される見込みはない。


 いいじゃないか、好きなだけいさせれば。その間、各政党各議員ともにじっくり政策を考える時間ができたんだから。もちろんその間、(さっきは楽観シナリオを書いたけれども悪化することは疑いない!)日本経済はどんどん悪化していき、国民の被る損失は甚大だってことは間違いないけれども! 

池尾和人「フリーランチではない政府紙幣発行」

 一足早くに『週刊東洋経済』を斜め読み。佐藤優氏のソ連社会主義再検証、野口悠紀雄氏も同様の話題と、なんかちまたではマルクス主義ソ連社会主義再訪ネタが大流行w。もちろんほとんどの人が「ネタ」でやっているだけで、真剣にソ連社会主義がいい!なんてのは絶対少数派だけど。


 さて巻頭の池尾氏の「経済を見る眼」。

 1)埋蔵金国債償却財源であり、埋蔵金を別な用途に使えばその分、国の純債務は増加する

 2)政府紙幣は禁止されている日本銀行による国債の直接引き受け禁止の抜け案を作ろうとしていることでしかなく、経済効果をみると国債の増発と政府紙幣の発行は同じ

 1)2)もともに政府の債務を増加させる点ではかわらないやげて返済する必要がある=フリーランチはない

というものである。このブログでも何度もとりあげたが、よく見かける批判である。

 1)については、高橋氏が埋蔵金の存在を指摘するまではまったく官僚の都合のいいように使用されており、国債償却財源として利用されていたという積極的事実はないだろう。その経過を無視してのこの種の発言にはどうも納得できないものがある。

 まあ、それはそれとして本論に移ろう。

 池尾氏の説明だと、「仮に国債発行残高が600兆円で、資産としての埋蔵金が40兆円あるとすると、差し引きの純債務高は560兆円だといえる。ここで埋蔵金を何らかの支出に充当して、その残高が減ったとすると、国債の残高は600兆円で変わらないといっても、正味の国民負担である純債務は使った分だけ増加していることは、誰でもわかるだろう」とある。

 疑問とすべき点は以下である。

 この種の主張が妥当するならば、さっさと国債償却に充当すべきことをこの種の主張者はすべきである。なぜなら国債償却をこれほどの巨額を行えば金利が低下することで景気刺激効果が現れるからだ。だが私見によれば償却を積極的に唱える根性のある埋蔵金償却論者はいない。事実上、埋蔵金はそのまま埋めておきましょう(償却にも当面使わず、もちろん他の支出にも使わず、埋蔵金の官僚のちょい食いを継続)といっているに等しいのではないか。


 この点について高橋洋一さんは『日本は財政危機ではない!』の中で次のように指摘している。

「2008年度に使える埋蔵金として日銀保有国債の償還分3.4兆円と財政融資資金保国債3.4兆円、計6.8兆円を挙げている。過去二度にわたり、吐き出した埋蔵金のうち、財務省は9.8兆円を「国債償還にあてる」と説明した。一般会計の借金を減らすために国債を買い戻すという方針自体は正しい。だが、財務省が実際にやろうとしているのは、ごまかしと非難されても仕方のないやり方だった。国債償還によって、市中に出回る国債が少なくなれば金利が低くなり、景気対策としても効果がある。だが、財務省国債償還にあてるといった埋蔵金9.8兆円のうち、市中の国債買入れにあてたのはわずか3兆円だけである。では残りの6.8兆円はどのように使われるのか、実は、日本銀行保有する国債3.4兆円分と、財務省の財政融資資金が保有する国債3.4兆円分を買い入れるという。はっきりいって、これでは国債を償還したことにはならない。財務省はもちろん政府の一部だし、日銀も広義では政府のなかにあるからだ。財務省の隠しポケットにあった埋蔵金を同じ服についている、日銀というポケットと財務省のポケットに移し変えるに過ぎない」(107-8)


 国債償却により金利低下→景気刺激効果を追求せず、埋蔵金を埋め戻しただけである。なぜ埋め戻しを財務省と日銀はタッグで行ったのか? そのインセンティブについては高橋さんの同書を読むべきである。


2)については、最近、このブログでもふれたので重複を避けたいので以下を読まれたい。

日本銀行政府紙幣への言い分http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20090226#p5
露骨な富裕層優遇よりも政府紙幣が嫌われる理由とは?http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20090215#p1
日本のトンデモ経済論(『エコノミスト』の匿名論説を読む)http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20090225#p2

日本は財政危機ではない!

日本は財政危機ではない!

ロドルフ・テプフェール『M.ヴィユ・ボワ』

 世界で初めてのマンガといわれるもののひとつ(見解により違う)といわれるテプフェールのコマ割マンガ。なんだか爺臭い主人公が、かな〜り魅力に乏しい女性に求婚し続けて、恋敵、修道士などなどの障害を自ら作り続け、その障害を克服していくドタバタ喜劇。これが意外とうける。思わず何度も微苦笑してしまった。売り切れないうちにマンガ好きならば手元においておいて損はないだろう。

M.ヴィユ・ボワ

M.ヴィユ・ボワ