カントと内村鑑三の楕円、ヘーゲルの円環

先のエントリーの補遺。

カントの考えを楕円としてとらえてみる。

この図表では、私(=主観)と物自体の交差する領域を現象(現象界)とする。この現象界については、西研氏の『NHK「100分de名著」ブックス カント 純粋理性批判 答えの出ない問いはどのように問われるべきか? 』の図表がわかりやすいので以下に。解説は同書を参考のこと。

 

内村鑑三の楕円については、図表化するよりも本人の発言を以下に。国際基督教大学内村鑑三の「楕円形の話」の自筆原稿を公開しているのでそこから。しかし内村鑑三の手書き原稿が読みやすい! 福田徳三の悪筆wwに苦労しているので段違いだな。河上肇もわりと読みやすい。

https://www-lib.icu.ac.jp/Uchimura/DigitalArchive/PDF/A_006.pdf

 

上下編で『聖書之研究』に掲載されたが、ここでは上編のみ掲示する。この内村の楕円形の考えは興味深い。福田徳三に影響を与えた神学者たちの考えとも共通するものをもっているし、またこの上編後半の内村が神は愛と義との楕円である、としたところと後編では円環で考えるとさまざまな支障がでるとしたところは、彼の平和論のベースだろう。神を愛だけ、義だけの円環でとらえると平和は訪れがたい、そうとも読める。

 

さてヘーゲルの考えを円環でとらえる見解はネットを検索するといろいろでてくる。ヤフオクの知恵袋なんか超わかりやすい(笑。

 

図表そのものとしては、関本洋司さんが紹介しているコジェーヴの『ヘーゲル読解入門』での作図が面白い。コジェーヴの本は研究室のどこかに埋もれてしまっているが、これは拾い読みしてみる価値がある。

物自体及びスピノザの今日性 : 関本洋司のブログ

図表を関本さんのところから拝借。あとでコジェーヴの本から解説とともに直接貼ることにする。

Amazon.co.jp: NHK「100分de名著」ブックス カント 純粋理性批判 答えの出ない問いはどのように問われるべきか? eBook : 西 研: 本

Amazon.co.jp: ヘ-ゲル読解入門: 『精神現象学』を読む : アレクサンドル コジェーヴ, 上妻 精, 今野 雅方: 本

 

追記:コジェーヴの翻訳から

画像