感染期の“戦時”経済の政策基準と戦争経済との相違:メモ書き

twitterで書いたことをそのまままとめたもの。

 

政策効果の判定基準が、感染期は少し工夫する必要があると思ってます。

単純にGDPの落ち込みを防ぐことだけに注目するのではなく、1)感染被害の死者数、2)失業者数、3)倒産件数、4)躁うつ病、DV、児童虐待などの動向、の方が相対的に重要になると思ってます。

 

これらの方が生産・消費動向をみるよりも重要かと思います。感染期の経済政策の目的は、単純化すると、感染前とかわらない状況で生き抜くことです。経済学の従来の思考にはない発想ですね。仕事がなくとも職を失わない、お客がこなくても倒産しない、コロナ危機で心も肉体もできるだけ「死なない」こと。

 

これらの政策判断基準は、僕自身よくIMFの戦時経済ブログを引用してますが、本当の戦争経済とは違うと思ってます。まず戦争経済だと投資・生産が活発で(消費は抑制)GDP自体は当初上昇し、そして完全雇用が成立して、そのあと民業圧迫で次第に成長率が落ちます。

 

ところが感染期の戦時経済は、他国と戦争してる戦争経済とは違い、感染期ではGDP水準では落ち込んだままかもしれません。また本物の戦争経済ではGDPは当面過熱しても国家生存のために人々は動員され生殺与奪の権利を一方的に奪われてます。対して感染戦時経済はGDP落ちても人と企業をなんとしても生かすのです。

 

なおこれの基準は社会主義的でもありません。
「働かざる者食うべからず」の「働かざる者」は働けるのに働かない人を指してますが、感染期では働ける人も対人接触の点では働かない方が望ましいし、なおかつ食うべきなのです
またMMTのように喪失した雇用の場を新たに政府内でつくるという発想でもない。