浅田統一郎「デフレ脱却こそが国債累積問題の解決策である」

この種の論説では珍しく数式を使って議論されています。といっても単純な

http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/opinion/20120501.htm

「ドーマー条件」を再び満たすようにするためには、20兆円規模の震災復興資金の日銀引受けをはじめとする政府と日銀の協定に基づく積極的な財政金融政策のポリシー・ミックスおよびインフレ目標政策によって、年率プラス2%程度のインフレ率とプラス4%程度の名目GDPの成長率(OECD諸国の過去10年間の平均並みに過ぎない)を維持してデフレ不況から脱却することが必要である。デフレ不況下の消費税増税はGDPの縮小をさらに促進して、日本の経済先進国からの脱落に手を貸すことになるであろう。原発問題についても言えることであるが、誤った政策がもたらす破壊的な結果に対して、その推進者も追随者も誰一人として責任をとろうとしないのが、日本という国なのである。

本当に最後はおそろしい一文ですね。そもそも「責任」といっても行政上のものでしかないのですが、それさえも巧妙に回避する。日本が「共同体」だとか西欧的な「責任」の概念が働かない世界だとか、能書きは一般論としていくらでも書けますが、本当に反吐のでる環境であることは間違いないでしょう。

特に日本銀行と政府の経済政策は、まさに現在進行形ですから、その責任者は明白です。日本銀行であれば白川方明総裁をはじめとした日銀幹部の大半、政権では野田佳彦首相やただの素人である安住財務相などの経済関係官僚と財務省を中心とした役人(その頂点の勝栄二郎)であることは間違いないでしょう。彼らの責任こそ継続して、その役職を離れてからも執拗に追及すべきです。

ところで、高橋洋一さんから教えていただいたのでしが、(僕も以前読んだ記憶があるのですが忘れてました)、小泉政権後期に竹中平蔵氏と与謝野馨氏らと政府部内で名目成長・金利論争というのがあって、上記の浅田さんの論説と合わせて読まれてはいかがでしょうか?

2006年3月16日経済財政諮問会議 竹中議員説明資料
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/minutes/2006/0316/item3.pdf
の資料1ページの注で浅田さんの論説と相補う形で数式が入ってます。