感染症は経済学者に重大な警告を発しているbyロベール・ボワイエin Le Monde 27 mars 2020

山田鋭夫先生が、ル・モンドに掲載されたボワイエの論説の日本語訳と元原稿(掲載されたものと少し違うもの)をメールで送ってきていただいた。

 

ボワイエの骨子は、1)感染症拡大が専門家にも実態が少しずつしかわからない根本的不確実性を招いている、2)経済学者は従来の合理的計算型の経済モデルで既存のレジームの中でしか対策を考えていないが、そのレジームが危機のときに経済学もまた根源的危機に直面しているのだ、という主張です。

 

この根本的な不確実性については、僕自身はかなり初期からリスクと(ナイト的)不確実性の区別として、ラジオ「おはよう寺ちゃん活動中」(3月10日)でも話した。

 

またTwitterでは以下の発言をしてきた。

田中秀臣 on Twitter: "不確実性が極めて高く、経済事象がその不確実性の根源ではない(新型コロナウィルスの感染拡大の不確実性)、ことに何度も注意する必要がある。そのため現状の経済危機の度合いへの認識は何度も更新していく必要があり、足らなければどんどんやるという姿勢が重要だ。"

田中秀臣 on Twitter: "日銀が各国中銀と連日行っているドル資金供給オペはきわめて重要。リーマンショックのような流動性不足から信用リスクが高まり、金融不安を伴う経済危機が再来すれば、その経済的損失は、新型コロナウィルスの不確実性と掛け算になり、おそらく1930年代の大恐慌に匹敵しかねない(僕の推測で割引必要)"

 

また『正論』論説でもこの不確実性に基づいた分析を書いている。その原稿をもとにボワイエ氏の論説も参照にしていくつか付記したものを英訳してブログに掲載してある。

 

ボワイエ氏との違いは、上記のように各国中銀のドル資金の協調的供給、米国の無制限量的緩和など金融政策は、米国発の金融システムの崩壊を防ぐのに貢献しているし、また各国はボワイエ氏の指摘よりも積極的に財政政策を具体的にすすめていることだ。ボワイエ氏自身が政策の具体性がないために、むしろ各国の取り組みに認識が遅れてさえいる。いま必要なのは具体的に「何をやるのか」その数字を伴った実践である。そこに経済学者自身の意義も試されているのだ。