山田鋭夫先生が、ル・モンドに掲載されたボワイエの論説の日本語訳と元原稿(掲載されたものと少し違うもの)をメールで送ってきていただいた。
ボワイエの骨子は、1)感染症拡大が専門家にも実態が少しずつしかわからない根本的不確実性を招いている、2)経済学者は従来の合理的計算型の経済モデルで既存のレジームの中でしか対策を考えていないが、そのレジームが危機のときに経済学もまた根源的危機に直面しているのだ、という主張です。
この根本的な不確実性については、僕自身はかなり初期からリスクと(ナイト的)不確実性の区別として、ラジオ「おはよう寺ちゃん活動中」(3月10日)でも話した。
またTwitterでは以下の発言をしてきた。
また『正論』論説でもこの不確実性に基づいた分析を書いている。その原稿をもとにボワイエ氏の論説も参照にしていくつか付記したものを英訳してブログに掲載してある。
ボワイエ氏との違いは、上記のように各国中銀のドル資金の協調的供給、米国の無制限量的緩和など金融政策は、米国発の金融システムの崩壊を防ぐのに貢献しているし、また各国はボワイエ氏の指摘よりも積極的に財政政策を具体的にすすめていることだ。ボワイエ氏自身が政策の具体性がないために、むしろ各国の取り組みに認識が遅れてさえいる。いま必要なのは具体的に「何をやるのか」その数字を伴った実践である。そこに経済学者自身の意義も試されているのだ。