昨日の経済学史学会関東部会での僕の質問。平井俊顕さんが「GDPデフレーターが下落している」という指摘について。90年代から下落してマイナス域だった。これは「デフレーション」のひとつの指標である。これを言うのは正しい。しかしその下落があたかも安倍政権のアベノミクス以降も継続しているような印象を持たせるのはまずい。
アベノミクス以降はGDPデフレーターがプラス域に反転していることをきちんと言うのが「客観的」な説明だと思う。
平井さんが何度も自分の説明はデータを「客観的」に説明しているだけだというので、それは正確な「客観的」説明ではないということを指摘しておきます*1。
日本銀行「経済・物価情勢の展望(2015年10月)」より引用し一部修正。
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1510b.pdf
ちなみに日本銀行の上記展望レポートの直近の説明では「GDPデフレーターの前年比は、原油価格の下落に伴う輸入デフレーターの下落を主因にプラスとなっている。内需デフレーターについては、消費税率引き上げの影響が剥落したことに加え、エネルギー価格下落の影響もあって、このところ0%近傍で推移している」とのことである。
内需デフレーターでの消費税率引き上げの効果が剥落したという表現には注意が必要で、むしろ(消費増税とともに)消費の増加そのものも剥落してしまった可能性が大きいのではないか?
*1:ちなみに平井さんの説明はそのデータの上下動などが何によるものかという説明ではなく、単にデータのみかけを説明することが「客観的」という印象をうけたので僕の方もここまではそれを踏襲して「客観的」にしておきました