中原伸之先生の1967年に発刊された旧著を初めて読んだ。フェイスブックの知人がとりあげていて自分でも読んでみたくなったのだが、早稲田大学図書館にもおいてない珍しい著作。アマゾンでほどよい値段だったので資料保存の意味もこめてゲット。
「石油産業は生産・精製・販売・輸送と言う四つの産業から成立つ。すぐれて国際的な<一つの>産業であり、このような総合的見地からの判断が要請されること、さらに石油産業の理解には経済学が非常に有効であるが、それも単なる経済理論ではなく、ナショナリズムなども考慮にいれたいわゆる「政治経済学」が必要であること、そして何よりも石油が特異な商品であり、ある意味では貨幣にも似た魔性を秘めていること、などを痛感した」(3-4頁)。
「貨幣の魔性」と中原先生は後に、日銀政策委員となり、まさに石油産業と同じ「日銀産業」の中で取り組まれたことを思うと、この前書きは別な深い意味を持ってくると思う。
本書は何人かのキーパーソンと欧米視察などの機会に接触し、それぞれのキーパーソンの主張を紹介することで事実上、世界の石油産業の情勢を、客観的なデータ、経済学、そして政治的なセンスで読み説いている。この分野に詳しくないので本書が今日どんな位置を石油経済学の文脈でしめるのか、自分なりに勉強してみたくなった。
なお最近の書籍に収録された中原先生の石油経済学については以下にまとめた。
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20060719#p3
ところで中原先生が脇村義太郎のゼミ生であることを初めて知って興味を抱いた。脇村は本書に序文をよせてもいる。
- 作者: 中原伸之
- 出版社/メーカー: 石油工業時評社
- 発売日: 1967
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脇村義太郎の書籍で僕が積読のもの
- 作者: 脇村義太郎
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