石原氏の本書のメッセージは明白だ。「センター試験はくだらない。しかしそのくだらなさは、出題者=政府関係機関が、「良い子になってほしい」という要求を「正答」に含ませている点で、深刻な問題をはらんでいる」ということだ。
センター試験、そして今検討されている学力確認試験、「人物評価」重視の国の入試改革の方向性など、石原氏はその核心部分に「良い子になってほしい」という思想が伏在しているとする。この評価は本書を読むかぎり説得力を持つ。
ただし岩井克人氏のセンター試験問題の解き方は、本書のようにするのがいいんだろうけど、石原氏の岩井克人論への批判の仕方はただの俗流のマルクス主義に淵源をもつ意見であるし、大澤真幸&水野和夫本を推薦するなど、目もあてられないのは残念なことである。
- 作者: 石原千秋
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2014/07/07
- メディア: 新書
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