本田透『ろくでなし三国志 本当はだらしない英雄たち』

 バブルの時代に『プレジデント』などの表紙を飾ったかの三国志の面々。横山光輝の読んでいると常にデジャブ感覚に襲われた『三国志』。日本においてもこの三国志文化はいろんなところでおなじみだろう。

 本書はこの三国志世界の前提にした社会環境が、いまの日本と同じデフレのどん底であり、低成長時代に生きる知恵……ただし、彼らの生きざまを真似るというよりも、こんなふざけた連中の真似をしてはいけない、という反面教師的な読解を基本的にすすめているように思える。

 もちろん本書はそんな処世訓の固まりではなく、単に三国志についての現代風の文体による軽快な解釈として読むのが正解だろう。できれば図表をもう少し入れてもらい、人間関係などや勢力図を整理していただいた方が、あまり三国志世界に慣れない人、あるいは横山本でキャラの混乱に見舞われた僕のような人 笑 を救済できただろう。

 それとふと思ったが、本書の本当の狙いは、本田氏が歴女をナンパするための攻略マニュアルなのではないか、とぜんぜん証拠もなく思ったりもしたのである。ではまた。