高橋誠一郎関連講演会&浮世絵展覧会

http://d.hatena.ne.jp/akamac/20090918/1253281306

 赤間さんのブログを見て気がついた。20世紀の終わりに実は僕も高橋誠一郎について論文を書いている(『高橋誠一郎の浮世絵と経済学』*1)。大学の紀要なので誰も知らないと思うけれども(笑)。いま読むと文章が下手。いまだともっとうまく書けるんじゃないかな。内容的には、高橋の浮世絵についての史観と、彼のユートピア的経済学観がクロスするところで、高橋の肉体へのフェティシュな嗜好を見出すというのが論文のテーマだった。自分でも風変わりな論文を書いたとも思う。同時期に大熊信行の『零度のエコノミー』という論文も書いていて、こちらはいまでも参照されることのある論文だけども高橋論文は書いた本人が気にいっている以外は無視されて久しい(笑)。

 ところでその論文を書いたときは高橋誠一郎コレクションは単行本の形でしか見ることができなかったのだが、いまでは全品をネットでも気軽にみれるhttp://project.lib.keio.ac.jp/dg_kul/ukiyoe_about.html。これも上の情報からいまさら知ったのである。こういうことはネットの効用として本当に感謝したい。このような美術品の収集を経済学者が行ったケースとしては、他に大河内暁男氏のホガースの収集が知られている。

 なお、高橋誠一郎は慶応の卒業生でも知っている人は少ないだろう。高橋はいわゆる「文人経済学者」Literary Economistとでもいう存在であり、その文筆力はおそらく日本の経済学者の中で屈指の人物である。まだ全貌を把握できている人はいないし、僕も福田徳三の弟子筋で、いま現在も興味を持っているのは、高橋誠一郎、大熊信行、赤松要、左右田喜一郎、杉本栄一そして飯島幡司らをあげることができるが、彼らの業績も福田の業績に負けずい劣らず面白いものがあるように思える。

 下はたぶん今回の企画と連動して出された新編のエッセイ集ではないだろうか? 慶応出身者(なぜか友人含めて僕は慶応関係者と妙に縁がある。ある意味、早稲田以上 笑)は高橋誠一郎の事績を知る機会にしたらどうだろうか?

新編 随筆慶應義塾

新編 随筆慶應義塾

*1:上武大学商学部紀要 12(1) pp.73〜92 2000/10