『植草甚一ぼくたちの大好きなおじさん』

 本屋で平積みになっているので小野耕世先生が書かれているに違いないと直感したらやはり寄稿あり。植草の読書基準ー「ちょっと気のきいたもの」「ちょっとしゃれたもの」を読んでいく、というのはよくわかる。ディレタンントの肯定もよく理解できる。

 74年のことだが、僕の友人に植草甚一ファンがいて、僕も読むのをすすめられた。他方で別な友人からは松本清張をすすめられた。また別な友人とはモンティ・パイソンで盛り上がっていた。そのときの優先順位は、モンティ・パイソン>松本清張>…超えられない壁>植草甚一であり、どうも子ども心に彼の書いているものがうすぺらく感じたのである。

 しかし、時代を経る中で、僕がこのブログでやっていることは、まさに植草的な「ちょっと気のきいたもの」「ちょっとしゃれたもの」の紹介であり、ディレタンントとしての役割なのかもしれない。いや、僕だけではなくブログをまめに書いているブロガーこそその精神的な祖として植草甚一がいるのかもしれない。そんなことを小野先生のエッセイを読みながら思った。まあ、それでも政策批判を植草はしないだろうけれども。

植草甚一 ぼくたちの大好きなおじさん―J・J 100th Anniversary Book

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