業田良家『新・自虐の詩 ロボット小雪』

 恋人用女性ロボットとして開発された「小雪」との前半はドタバタ調のギャグが重ねられていく。が、次第に川の向こう側=「負け組」の存在を通して、小雪が感情をもち、やがては川の向こう側の解放を試みていくシリアスなドラマになっていく。ロボットが純粋な悪ならば救いがあるが、純粋な善=救世主になってしまうと人類は従属せざるをえなくなり、人類そのものが不用にさえなる、という劇中の登場人物の発言も深いメッセージ性があるかもしれない。完成度が高く安心して読むことができる。

 

新・自虐の詩 ロボット小雪

新・自虐の詩 ロボット小雪