山形浩生『要するに』


 『山形道場』の改訂版に稲葉振一郎さんの解説がついてお買い求めやすくなって新登場。僕は2000年の秋くらいまでは時事的な問題に意見を公表するなどという企てとは遥かに遠い位置にいたわけですが、猪瀬直樹氏のメールマガジンに参加することになってからいくつかの評論集を買い求めてざっと読んだ一冊に、『山形道場』がありました。01年の夏か秋かに購入したのではないでしょうか。すでに『構造改革論の誤解』を書いていた時期なのですが、まさかこんなに長くまだ「デフレ脱却」を唱えるはめになっているとは。日本経済に属する皆さん、お疲れ様です。本書でも至るところにデフレ不況に低迷していた日本経済が姿を現していて、前著『新教養主義宣言』よりもはるかに僕には読みやすい「ケーザイ」の話題がてんこ盛りです。そしていまも書きましたがその多くの論点はいまだに有効でほとんど古びてはいないですね。ただ新しい意匠をまとっているだけで今日もそしてここしばらくは同じ「ケーザイ」問題が日本や世界を悩ますでしょう。


要するに (河出文庫)

要するに (河出文庫)


 「官僚いじめもほどほどにね」、一昨日から話題の町村官房長官に読ませたほうがいい「ダウ平均と日経平均と景気のからみあい」、「後悔と可変割引率」、「ホワイトカラーだって実はがんばっていたのか」、「地域通貨って、そんなにいいの?」などはいま読んでも得るものがある文章といえるでしょう。


 ところで

(付記)あれ? 書いたつもりなのに消えてる。もう一回書くとしんどいので「ところで」以降は書くかもしれないし書かないかもしれない。ただそこを書かないと[ネットの経済学]にした意味がわからめだな。