『ロリータ』注釈書

 『誘拐逃避行』の書評を書くために、かの大江健三郎大先生のご推薦するアッペル(A.Appel)の注釈版『ロリータ』を斜め読み。「野心的で勤勉な小説家志望の若者」はこの『ロリータ』を読めとのことだが、「おっさん」はだめなのかな? しかし若島正訳をいま読んでるけれども、30年くらい前に読んだ大久保訳の方がなんか印象が鮮烈なのはやはり読んだ時期に影響されているのかな。


 ところで『誘拐逃避行』の著者は明らかに『ロリータ』を意識している。しかしナボコフが「英語という言語との情事」を愉しんで書いた、といったのに対して、やはり河合香織の方はジャーナリストなのか、ナボコフのような陰画的な距離感の喪失はなく、かなり突き放しているポーズだけとってそれが本書の後半を魅力のないものにしてしまってるね。


The Annotated Lolita: Revised and Updated

The Annotated Lolita: Revised and Updated


 『誘拐逃避行』の話の核心はナボコフの次の文章でおおよそ尽きてしまう。

But his heart baet when,among the innocent throng , he espied a demon child “enfant charmante et fourbe”,dim eyes,bright lips ,ten years in jail if you only show her you are looking at her.