米国経済ブログ、全面悲観論の展開


 久しぶりに余裕があるので米国ブログを巡回。ほぼ全面悲観論の様相ですか。公的機関(FRBIMFの最新の予測など)はあいかわらずサブプライムローン問題は予想よりも深刻だが、それでも消費などに影響をさほど与えないので景気への効果は限定的、むしろ原油価格高騰でのインフレリスクを払拭しきれていない、という読みのようです。


 いくつか全面悲観に転じた米国経済ブログの代表的な議論をご紹介。


 James Hamiltonは、各種データを紹介(季節調整済、調整なしの新規住宅販売の落ち込み、住宅販売の先行指標であるモーゲージ・レートの急上昇、ブルームバーグによる担保付負債証書の販売減少=貸出リスクの増加、西海岸での破産の歴史的増加など)などを紹介して、FRBは5%の金利引き下げをすべきだと具体的に提起しています。ここ


 Macroblogでは、信用リスクが急激に悪化したこと、住宅ローンの不良債権化が著しいことを各種の報道やデータで伝えています。ここ。


 悲観派の代表といえば、クルーグマンとルビニィのふたりです。クルーグマンの論説はThomaブログで主要部分を読めます。ここ。


 クルーグマンのスタンスは住宅市場の過熱はバブルであり、サブプライムローン市場の末期的な症状=サブプライムローンを組み込んだ金融商品の高格付けが、一段と引き下げられたこと、さらにクルーグマン的観点ではその引き下げさえもリスクに見合った評価ではない、というのが彼の論説の主要部分でしょう。


またこのエントリーをアップした直後に読める状態になりましたが(笑)、Thomaブログに最新のクルーグマン論説が掲載されていますが、これも趣旨としては住宅バブル崩壊を含む世界経済危機への警鐘といえる内容です。ここ。


 ルビニィは、住宅不況による貸出リスクの増大、それがもたらすクレジットクランチ(貸し渋り)、消費・投資低迷、在庫の積み増しなどなどが、マクロ的な停滞をもたらすと、本人自身認めているように1年以上前から同様今回も力強く宣言しています。ここ


 ところで余談ですが、株価や資産価格の個々の即時の動向に脊髄反射しないのが、日本での“まともな”経済学者の対応だと僕は思ってきましたが、米国の著名経済学者ブログをみてみると結構脊髄反射が多いので、これはある意味で参考になる態度です。いいかれば、個々の資産価格の即時動向に脊髄反射的になにかマクロ的予測を書いて、たとえそれが個々で外れようが当たろうがあまり意に介しない態度といいますか(日本ではこういう態度は倫理的というか東谷暁的wというか糾弾されがちですが)。そこらへんのブログ魂は見習ってもいいのかもしれません。