消費者物価指数、完全失業率の公表、中原氏のコメント


 消費者物価指数は、前月比は0.2%の下落、前年同月比0.0%、生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)は、前年同月比0.0%、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く消費者物価指数(コアコアCPI)は前年同月比は0.2%の下落。また2月(中旬速報値)の東京都区部コアCPIは前年比0.0%となっています(ロイターの報道ではこの数値は民間の予測を下回っているとのことです)。


 さらに完全失業率は相変わらずの(リフレ派基準*1)では高止まりの4%であり、上記消費者物価指数の伸び悩み(上方バイアスを加味するので実質デフレの深化傾向*2)を勘案すると、現状ではデフレギャップがいまだ恒常的に存在し*3、それが雇用状況の一層の改善、さらに家計消費の脆弱性の払拭の障害になっているものと思われます。


 ただパート・アルバイトのいわゆるフリーター数が187万人に減少し、200万人を下回ったことは、厚生労働省の発言どおりwに不十分なものとはいえ景気回復による正社員化の進展でしょう。私の考えでは、景気が持続的に回復する過程でこのような正社員化傾向が続くとともに、また非正規社員の待遇自体も規制によらずに改善していくことが望ましいし、そうなるだろうと予測してます(80年代後半から90年代初ごろの状況に回帰するだけですが)。この点は拙著の『経済政策を歴史に学ぶ』(ソフトバンク新書、35頁前後)を参照ください。


 また『フィナンシャルタイムズ』アジア版の解説記事Japan inflation falls to zero in Januaryでは、この消費者物価指数完全失業率の公表をうけて、中原伸之氏のコメントを紹介しています。最近の世界同時株安・円高傾向もうけて中原氏は「火の手は別のところ(中国、米国)であがったが、ガスタンクを満タンにして炎上待ってるのは日銀の責任」と厳しく指摘しています。つまりリスク対応が全然とれていないということでしょう。

 

*1:例えば先日紹介しました原田さんの論説のエントリーを参照くださいhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20070227#p1 なお野口旭・田中秀臣構造改革論の誤解』(東洋経済新報社)などのNAIRUの推計も参照ください

*2:この点は門倉貴史さんの『統計数字を疑う』(光文社新書)を参照ください

*3:この認識が厳密には今日紹介した深尾論説とは異なる