『諸君!』若田部昌澄論説


 先々週にお会いしたときに聞いたかもしれない論説でしたが、紹介忘れてました、すんまそ。購入してきました。

「竹中「構造改革」の功罪」 若田部昌澄(早稲田大学教授)さんのものです。

 主に論説は財政に照準をあわせています。もちろんいまの日本で財政を論じることは、この若田部論説にもありますように、「マクロ、時間、そして政治」の三つの視点が関係するのでしょう。

1 マクロ…03年3月に小泉政権は当初のマクロへの無関心から政策を転換して、景気回復に貢献した。景気回復が税収の自然増と単年度の財政赤字減少につながった。
2 時間…政府の債務は膨大だが、次の諸点は重要
 ① 全部をすぐに返す必要なし、長期の問題
 ② 日本の債務はほとんど日本人が保有
 ③ 名目成長率>名目長期利子率であれば財政は維持可能(×財務省側はこの不等式関係はなりたたないと主張)
 ④ 小泉首相は2006年3月16日に③の関係が成立するかしないかは、「決め打ちしない」として財務省側の増税路線が事実上崩壊
3 政治…昨年の選挙の結果、財務省から与党が予算編成権を移行。

問題点
Ⅰ デフレ脱却しないと③が実現できない
Ⅱ 政治家の財政規律はどこまで保たれるか。
 「5月11日にm、中川秀直政調会長二階俊博経済産業相与謝野馨金融・経済財政担当相の三者で取り交わされた合意「経済成長戦略大綱」」は中小企業支援などの財政規律を失わせかねない要素がある。

以上が要旨です。

僕もだいたいは同じ評価なのですが、ただ最近、「福井日銀の光と闇」笑)を考えるものとして、03年の政府のマクロ政策「転換」が本当に「転換」だったのか、あるいは野口旭さん的に「なし崩しのレジーム転換」だったのか、あるいは、これは僕が支持している説ですが、安達誠司さんと同じくあの時点では「レジーム転換なし」としたままでいいのか、整理中でして、むしろ最後の安達さんの説をさらにすすめてあの時点では、「(政府と日銀の協調という意味での)レジーム転換の失敗」さえあったといえるかもしれない、と思ってきた次第で、だんだん高橋洋一暗黒卿(当時、為替介入の非不胎化には日銀の長期国債買いオペぜんぜんたらないし、むしろスタンスみると介入効果を減殺、という論説を公表していた)に似てきている自分が怖いのは否定できませんww。