え〜これが「学会」のコンセンサスなんだ(主催がどこかご注意をw)

 その昔、旧通産省の資金援助で『東アジアの奇跡』という本でて話題になった。日本をはじめとする東アジアの奇跡的な成長は、効率的な官僚組織の行う政策によって実現されたというシナリオ。特に典型的には、旧通産省の行った産業政策とかね。本当に世の中はある意味面白い。

 さてドラエモンのブログがいつの間にか復活していてあいかわらず飛ばしていた。

976: ドラエモン  2008/11/05(Wed) 20:15 [ va4qsJNk0c ]
>>974-975

最近になって読んだんだけど、これが日本の学会のコンセンサスらしいよ。

http://133.11.244.73/pdf/conference/14.pdf

植田先生の総括によれば、デフレはほとんど問題ではなかったというのが教訓らしい。
ということで、マスコミも官僚も、基本的には経済学者の判断を尊重しているという
ことだわな。

俺、そこらのオッサンでよかった(笑)

なんのこっちゃか、一瞬わからなかったが、http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/data/toudai_rsd02.pdfこちらに当該のコメントがあった。

<座長総括>
座長の植田は、長期低迷期におけるデフレの直接的なコストは小さかったという意
見が大勢だが、①福田の指摘したような政治的なコストと、②仮に2003 年頃に追加
的に負の需要ショックが発生していたら、デフレは深刻化していたかもしれないとの
門間の指摘を踏まえると、デフレのコストはそれなりに大きいのではないかとの見解
を示した。最後に植田は、先行きの景気や金融資本市場の展開によって、今後の研究
の方向性も異なってくる可能性に触れて、コンファレンス全体を締めくくった。すな
わち、①来年も経済が安定成長を続けていくことになれば、金融と実体経済双方に
様々な歪みを抱えるもとで、この相互依存的な非効率をどう解きほぐすかが重要なテ
ーマになる一方、②最近の金融資本市場の混乱が今後も続くのであれば、世界各国の
中央銀行が「金融政策の問題」と「金融システムの問題」が必ずしも切り離せないと
いう困難な状況に直面し、図らずもこの分野で多くの経験を積んだ日本銀行の知的財
産が役立つ局面が来るかもしれない、と展望した。

 植田氏は従来から日本の90年代後半以降のデフレは「悪いデフレ」(軽度のデフレと経済停滞の組合せ)で、20〜30年代の日本・アメリカの深刻なデフレとは異なるという見解をもっていた。その意味ではデフレの直接的コストが小さい派なのだが、それでも座長総括の発言を読むと彼をもってしてもまだ「大きい」方の見解なんだろうなあ。

 吉川洋先生の短期での総需要ショック重視(ここではデフレ重視と同じ)はいいとして、あいかわらず長期ではマネーろ物価の関係を切断ですかw(=長期も総需要ききまくり説)。ただ総需要派として討論でひとり気を吐いている印象かな。不遜ですが、僕は吉川先生や岩井先生はサプライサイド派や構造問題派への批判の仕方については100%賛成で、ご持論についてはちょっとその…という感じでいつも思っております。

 この討論部分が非常に面白いんだけど、とりあえず植田氏の総括の部分にある「世界各国の中央銀行が「金融政策の問題」と「金融システムの問題」が必ずしも切り離せないという困難な状況に直面し、図らずもこの分野で多くの経験を積んだ日本銀行の知的財産が役立つ局面が来るかもしれない」という発言部分が香ばしい。

 いま現在の国民的な世間知でも(日本経済新聞産経新聞が味方w)、日本銀行の政策が各国中銀に知的財産としてやくだつどころか、協調利下げに「知的財産」ゆえに参加できなかったのは明白でしょう。

 またその後いきなりこんどは理由不明確のまま((できるだけ微々たる)利下げに単独走るという逐次戦力投入路線という、これまた過去の「知的財産」を披露してくれたわけで…あれやこれやで円高と史上稀に見る株安崩落を「演出」してくれたわけだから、本当に植田氏のいう「知的財産」というのはすっごいわw

 よかった、オレも、そこらのおっさんで(=日本経済学会会員じゃないので会員の総意に加わる条件みたしてないw)。そこらのおっさんなんで「知的財産」を尊重する義務も学会の総意に従う義務もないもんなあ 笑

 何度も書いているけれども、金融危機の対応も不況対策もアメリカの政策をこれからも注目していたほうが、日本の「知的財産」を尊重するよりも、日本の国民は自国の政策を再考する上で参考になりますよ。例えば最近の論調をみるに日本経済新聞もようやく気がついたんでしょう。金融危機でも不況でも中央銀行の政策が決定的に大きくて、しかもいろんな政策オプションがごろごろあってそれを四の五のあまりいわずに果敢に試していってるって。その意味ではアメリカの「知的財産」(金融危機でのアメリカの苦境とそれからの脱出)が、ネットの時代のいまリアルタイムで追えて本当によかった、と思うんですけどねえ。

(補遺)ちなみに昭和恐慌のときも石橋湛山とか当時のリフレ派(ちなみに日本でのリフレの用語法自体は湛山の採用による)は、学界、官僚、マスコミ?(当時の2ch??)から「街角エコノミスト=ただのおっさん」とさんざん誹謗されて、学界の権威と政策に口出して人心をかく乱しているとして某大新聞などは朝刊一面にでかでかと「リフレ派、明朝、国家なんとか罪で逮捕の予定」と書かれたぐらいだからw それに比べれば、いまはまだまし。

(残業) ↓アハハハハ、もちろん気がついてたよ。だから補遺↑書いといたのw。 

977: ドラエモン  2008/11/05(Wed) 23:03 [ va4qsJNk0c ]
あ、これ読んでブログのネタにして商売している椰子をみっけw だが、一番重要な部分
を見落としてる。修行がたりんな。

「さらに福田は、デフレのコストについて、確かに直接のコストは小さかったものの、
デフレの議論に費やされた社会的なコストは大きく」

つまり、俺達みたいなのを最底辺にして、上はスウェーデン中央銀行賞の受賞者なんかが
グダグダ言うのがデフレ自体より社会的コストが大きいらしい。

どうも、すみませんm(__)m

ハチワンダイバーと双曲線的割引?

 ハチワン「も…もし…僕が…指さないで 今スグ帰ったら どうなりますか?」

 マムシ「訊いて良かったな 上にバァさんがいたろ」

 ハチワン「ハイ…」

 マムシ「あのバァさんに首をヘシ折られる」

 ハチワン「…………ウソだ…絶対…」

 マムシ「おまえ ババァが全部弱いと思うなよ バケモノみたいに強ェエから ここの番兵が務まるんだろうが」

 ハチワン「………」

 マムシ「何人も殺してるババァだ ババァだから怖いものなんてないんだよ いつでも特攻隊の精神なんだよ!ババァだから 先の短ェ奴ぁ未練がなけりゃ精神的には無敵だ だから一番強ェエのはジジイとババァだ!!!」

 ハチワン「い…意味が…」

 意味は双曲線的割引か。深いなダイブ

 以下の巻より。なおいい爺さん婆さんその候補も上のようなまねをしてはいけません念為。

ハチワンダイバー 7 (ヤングジャンプコミックス)

ハチワンダイバー 7 (ヤングジャンプコミックス)

 (補)実際に男は70歳をすぎると急激に双曲線的割引を行うらしい(すごくせっかちさんになる)。女性は年齢を経ても持久力が増すらしい。なのでハチワンダイバーの「ババァ」(ま、下品なこと)みたいな極端??な行為に走るかどうかといえば否定的かもしれないが、ハチワンの「ババァ」はみかけはひょっとしたら80歳超かもしれずそうなるとその年齢から急に双曲線的割引を行うせっかち殺人マシーンになるかもしれないorz

オバマ砲なるか?

 必ずしも経済学的ではないですが、オバマ氏の現状の政策志向(中産階層への再分配強化など総需要喚起を狙う政策が多そう)が一種のレジーム転換(わかりやすいのは資産価格や消費者の不安指数などの改善に表現されるんじゃないでしょうか)をもたらして、アメリカ経済の期待成長率をあげたら面白いですね。できれば地滑り的な勝利がそのようなマケイン氏(旧来型の富裕層・企業の減税中心のサプライサイド政策)的なるものからの転換を国民により一層強く印象付けるので好ましい勝利の方程式になるんじゃないでしょうかね?

2008年下半期経済書ベスト4+1

 そろそろ年間ベスト選出とかの時期が近いのですよ。一年というのは本当に早いですねえ。まあ、まだ二ヶ月ほぼ丸々残って超気が早いですが 笑。

 上半期はこの本たちをおススメしましたとさ →これhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080625#p3

 下半期は個人的に何度も何度も読んだ本をあげることができ、その意味では当たり年でした。つまりネタ本ですね 笑。専門的なものは無視して一般的なものを五冊とりあえず選びました(順位には意味なしです)。これに出るぞ〜と噂されている知人たちの本がきっとにぎわせてくれるでしょう。

1 岩田規久男『景気ってなんだろう』

 これは書評を書きましたのでご参考ください。しかしためになりますよ。とりあえず景気問題についてはこれ一冊で十分でしょう。

景気ってなんだろう (ちくまプリマー新書)

景気ってなんだろう (ちくまプリマー新書)

2 大竹文雄『格差と希望』

 格差問題の日本でとりあげられているほぼ主要論点をカバーした便利さと分析の明るさで重宝しております。処方箋は違うのも多いのですが、どこが自分と違うのかはっきりわかる点でも個人的に便利なのです

格差と希望―誰が損をしているか?

格差と希望―誰が損をしているか?

3 竹森俊平『資本主義は嫌いですか?』

 いえ、大好きですw と応えてしまうオレがいますが。econ2009さんが継続して書評をかかれているのでおまかせしますが、前もちょこっといいましたがこれが今後の日本のバブル経済学の基本書でしょうか? 専門的内容をこれだけ噛み砕いて紹介できるのは竹森さんならではでしょうか。これも微妙に僕のような恐慌はこないでありきたりの不況がくる論からするとちょっと立ち位置が違うのですが、便利です。

資本主義は嫌いですか―それでもマネーは世界を動かす

資本主義は嫌いですか―それでもマネーは世界を動かす

4 アラン・クルーガー『テロの経済学』

 これも原書のときから含めて何度も読みました。いや上の三冊もそうですがいまも手元において参照しています。これだけの実証的に深い内容をわかりやすく説明していて、話題も真摯なものであるという、その水準の高さに敬服します。どうして世界でテロが絶えることがないのか? という疑問をもつすべての人に推薦します。これについても書評を書いてます

テロの経済学

テロの経済学

5 ラグラム・ラジャン&ルイジ・ジンガレス『セイヴィング・キャピタリズム

 実は今日届きました 笑。2008年に出たものではないんですが、5冊思いつかなかったので圏外からここにw しかし冒頭の「本書は、資本主義を「資本家」の暴虐から護れと主張することをめざしているが、その場合の「資本家」とは、既得権者(自由競争から利害を護られている人たち…田中注)としての資本家を指している。彼らと困窮した失業労働者の意外な同盟は、企業倒産を解雇という瓦礫の山のなかにおいてとりわけ強力となる。不況の時期には、資本家たちは自由市場が作り出す機会よりも、むしろ競争のコストに目を向けがちである。また失業労働者は、多くの他の者たちも同様の境遇にあって、同じような心配にさらされていることに気づくから、団結するのは容易である。そして資本家たちは、困窮者たちのためだという口実を政治組織を利用して、自分たちに都合のよい政治アジェンダを策定する」というのは日本の状況を考えると非常に興味深いですね。「資本家」を19世紀的イメージで考えるのではなく、いまや我々は多かれ少なかれ「資本家」だと解釈すれば、日本での「意外な同盟」もいろいろ指摘できますね。

 

セイヴィング キャピタリズム

セイヴィング キャピタリズム