日韓対決はドラマの破綻もお構いなし、『プラハの恋人』


チョン・ドヨン熱、加熱中。
 日本と韓国の外交官同士がマラソンで勝負をすることが、話を無理やり引っ張ってる『プラハの恋人』の初回ですが(笑)。それだけ日韓対決はなにか熱くさせるものがあるのでしょうか(^^;)。

 
 チョン・ドヨンがまさか日本語をあれだけ喋るというのは日本のファンへのサービスなのかもしれませんが、ちょっと驚きました。続きを見るのかどうかは不明ですが、とりあえず無理目の話の進行にどこまでついていけるのかがすべてのキーとなるでしょう。しかしチョン・ドヨン、マラソンの練習のし過ぎだと思うけれども真っ黒に日焼けして、下の『初恋のアルバム』の続きをみているかのようです。あと妊娠中の女性には優しくしないとやはり。

 あ、それとドラマ序盤で、日本と韓国の銀行利子率をめぐる白熱?した言い争いがあったけれども、(2005年当時)コールレートがほぼゼロの国が、3%台にあった韓国よりも、銀行利回りが上なのは日本みたいな認識なののは、ドラマとはいえ日韓の外交官としていかがな設定かと(笑)。

小林伸一郎『NO MAN’S LAND 軍艦島』

 『週刊東洋経済』にかなり前に寄稿した書評。

 廃墟写真集がブームである。廃墟写真集は80年代後半に一回目のブームを迎え、いまは新世紀からはじまる二回目の隆盛期であるという。前回のブームでは、宮本隆司氏の『建築の黙示録』(1987年・新版2003年、平凡社)や雜賀雄二氏の『軍艦島 -棄てられた島の風景』(1986年・新版2003年、淡交社)が代表作として知られている。
今回のブームでも、小林氏を中心にして多くのカメラマンが作品を発表している。例えば、中田薫の『廃墟探訪』(2002年、二見書房)は、ラブホテルやボーリング場の廃墟を、刺激的な文章を加えて活写したものとして有名である。ところで本写真集のテーマとなった軍艦島とは、長崎近海に浮かぶ半人工島(正式名称 端島)であり、高度成長期に採炭で栄えた世界で最も人口過密な都市アクロポリスであった。最盛期には周囲1キロたらずの島に5千人以上が居住していたという。それが70年代に炭鉱の閉山によって誰ひとりとして住む者がいない死の都市ネクロポリスに転じてしまった。密集する高層アパート建築は、酸化したように赤く爛れ、多くが瓦礫と化している。近海から眺望した島の風景は、まさに打ち捨てられた軍艦の異名に恥じないものである。かっての住居跡には、慌てて逃げ出したかのように生活の断面が凍りついたまま風化している。ハンガーにかけられたままのセーター、食器が整然と並べられたテーブル、涼をとる住人がいるかのように頭をもたげた扇風機。生活風景の死骸は、見るものに恐怖感さえも与えるだろう。
 ところで人はなぜ廃墟に魅せられるのだろうか。かってドイツの社会学ジンメルがいったように、われわれがこの世で生み出しうる完璧さを超えた姿が、まさに廃墟だからなのかもしれない。

NO MAN’S LAND 軍艦島 (Japanese deathtopia series)

NO MAN’S LAND 軍艦島 (Japanese deathtopia series)

フランク・ミラー『300(スリーハンドレッド)』


 数万ものペルシャ軍に立ち向かうたった300のスパルタ軍(ただし『墨攻』の売り文句みたいで、実はほかに数千名の“素人”軍つき)。まるでタイガーマスクを養成する虎の穴のような訓練を積んだ精鋭たちの戦闘の美学を全編で展開。ただそれほど面白くはない。期待しただけ肩透かしをくった。映画をみるかどうかはこれは微妙かも。

300(スリーハンドレッド) (Shopro world comics)

300(スリーハンドレッド) (Shopro world comics)

 ユア・マイ・サンシャイン&初恋のアルバム

 最低の男から逃れるために夜はホステス、昼は喫茶店(兼売春)で働く女性が、最高の牛飼い男と出会い結ばれる話。実話がベースだという。今年のカンヌ国際映画祭主演女優賞チョン・ドヨンと、どうみても凡庸な田舎のおっさんにしか見えないファン・ジョンミンの、このふたりのさりげない仕草がかもし出すほのかなエロスと可憐さ、慈しみに感銘すること間違いなし。こんなにストレートな臭い筋立てなのに出色のラブストーリーに仕上がっている。率直にいってチョン・ドヨンに惚れた(こればっかり(笑)。


 というわけで論文少し脇において、チョン・ドヨンの『初恋のアルバム ~人魚姫のいた島~』を見ました。これはちょっと退屈だったかな。物語的にはもう少しどうにかなるような気がするんだけども。話は現在の不仲で経済的には辛酸をなめている両親と両親が嫌いな娘。その娘がタイムスリップして両親の出会いと恋を目撃するという話。韓国の海とその生活がなごやか。チョン・ドヨンのファンだったらもちろんそれだけでいい作品かもしれないけれども。

初恋のアルバム ~人魚姫のいた島~ [DVD]

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