DVD視聴による洋画評論の体裁をとりながらも、一冊読むと現代のアメリカ社会・文化を知ることができる実用的な一書。その実践的な評論スタイルは、宮崎さん独自のもので、今回も楽しく読めました。月に20本は最低でも見ておられるそうで、これはなかなかできないことだと思います。僕は月15本程度ですが、やはりDVD中心(あと幸運にもシネコンが近くにあるのでそれも併用)しかもポータブルプレイヤーで再生して、ちょっと空いた時間にみることにしています。宮崎さんの本の冒頭でもDVDの利点が、時間の効率的な利用の観点から述べられていて、本当にこれは同意できます。
例えば、僕も昔、冬ソナの本を書いたという珍しい経験をしたことがあるのですが(笑)、そのときはともかく締切までの日数と見なくてはいけないドラマの絶対数を比較して、その残存時間をいかに有効に利用するかで、このポータブルDVDを使って、ちょっとした隙間の時間を最大限に活かして書いた経験があります。それとDVDですと字幕を選択できるので、特に英語のはいいですよね。英語字幕を選択しておけば、英語の勉強に確実になりますし。
ちょっと余談ですみませんが、僕が愛用している機器は、On LifeのポータブルDVDでしてこれのいいところは海外のコードの異なるDVDも再生可能なことです。実際に韓国映画をよく見ていた時期では、香港版のVCD(画質・機能で劣るが英語字幕と廉価なので愛用した)などを気楽に再生できるたので助かりました。
さて宮崎さんの本書における実践的スタイルはまた単なる「ためになる」という点に重きをおくだけではなく、同時に「面白い」ものではなければ意味を見出さないという姿勢も合わせもっています。
面白くてためになる映画(主にハリウッド映画やハリウッド・スタイルの映画)が選ばれ、映画が与えてくれる蘊蓄力と教養力へのアップポイントという評価軸にそって論じられています。特に本書を読むことで(ある意味映画をみなくても)アメリカの社会・文化論を楽しんで学べる点が、時事評論を精力的にこなされている宮崎さんじゃないと不可能な映画評論になっていると思います。僕もすでに見ている映画が多かったのですが、見ているからこそ楽しめる点も多かったですね。
本書の最後が『ウォール街』ですが、実は僕も最近の時事を背景に、この映画を再見したくなっていました。ゲッコーの“Greed is good”のくだりの演説をもう一回みてみたいと思うのです(あとで借りてこようかな? TSUTAYAで 笑)。続編できそうだし。
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