日本経済、「あと一押し」まで来たのかどうなのか?−GDP速報をうけてのリフレ派の解説まとめ

 GDP第2四半期の速報がかなりよい内容だったのをうけて、いわゆるリフレ派の論客(田中含む)が論説を書いています。そのうちいくつかをご紹介。

トップバッターは、嶋中雄二さんです。

嶋中雄二の月例景気報告(8月14日)No.88:「数量景気」からミニ設備投資ブームへ〜「いざなぎ超え」後の拡張局面の行方〜
http://www.sc.mufg.jp/report/business_cycle/snm_report/pdf/snm20170814.pdf

「数量景気」というのは、物価上昇を伴わずに雇用・生産などが改善していく景気局面を指す、たぶん嶋中さん独自の用語法ではないかと思います。<付記>「数量景気」という言葉は昔から使われているようです。中村宗悦さんからご指摘を頂いたので付記させてください。

嶋中さんもそしてこれから紹介する各論客も「過度の抑制的な財政政策」の見直しと、金融緩和の可能なかぎり(インフレ目標の安定的達成まで)の継続を支持しています。

次は、高橋洋一さん。まだGDP速報をうけての論説は書かれてないようですが、いち早くツイートでは、この景気回復の主因をするどく指摘しています。

https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/897284790029754368

要するに補正予算が効果をあげてきているという話(もちろん金融緩和スタンスの継続は必要条件)です。そのためさらに一押しの補正予算編成を高橋さんも主張しています。

安倍改造内閣が問われる「20兆円財政出動」で物価目標2%達成
http://diamond.jp/articles/-/138218

次はフォーブスでの若田部昌澄さんの投稿です。
“Why Japan's Good GDP Growth Demands More Policy Action”
https://www.forbes.com/sites/mwakatabe/2017/08/15/why-japans-good-gdp-growth-demands-more-policy-action/#70a85b1454c4

この記事も要するに、金融緩和の継続の一方で、補正予算の効果が出てきている。そしてまだまだ日本経済は積極的な財政・金融政策の拡大を必要としているというものです。そしてなによりも消費増税はノー。まだ消費増税に耐える環境には程遠く、今後予定されている増税が経済を下方屈折させるリスクを強調しています。この点はおそらく(今回ここでとりあげた)リフレ派のほぼ共通する認識でしょう。

この記事は英語なので英語が苦手な人は以下の質問者2さんのブログを参照ください。
https://ameblo.jp/shinchanchi2015/entry-12302004607.html

そして安達誠司さんの次の記事も重要です。
日本経済は今、デフレ脱却まで「もうひと押し」のところにいる
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52610

設備投資の詳細な分析の結果、マクロ的な投資環境はせいぜいデフレ脱却の道半ばの2006年ぐらいの水準であることを解説しています。さらに消費は耐久消費財の伸びは一時的な可能性もありまだ安定的なものではないこと。他方で雇用者報酬は確実に伸びていることを指摘しています。

そして田中秀臣、つまり僕の論説もようやく配信されたようです 笑。できれば昨日掲載してほしかったのですが。タイトルだと北朝鮮リスクと「人づくり革命」の話題みたいですが、もちろんGDP速報をうけての経済分析です。他の人たちと違うのは、より雇用に焦点をあてていることでしょうか。そして「人づくり革命」よりも政治家の経済認識を改めることを指摘しています。

北朝鮮リスクより危険? 経済最優先「人づくり革命」に足りないもの (田中秀臣) - オピニオンサイトiRONNA
http://ironna.jp/article/7410

他に村上尚己さんの東洋経済の記事もまたれます。上念司さんのチャンネルくらら動画やまたラジオでの発言、金子洋一さんのツイッターやブログでの書き込み、そして飯田泰之さんのラジオなどでの発言も要チェックです。

ここ数年、ブログの更新は怠けてるのですが、やはり即応性があり、題名を変えないで掲載してくれるネット媒体がいまのところニューズウィークさんしかなく、やはり意図を直接に即時に伝えるには、個人ブログは重要だな、と思います。