「残業代ゼロ」の法改正についての私見

Twitterで書いた発言を下に。

「残業代ゼロ」制度導入へ 国が法改正方針 | 日テレNEWS24 http://www.news24.jp/articles/2015/01/01/07266403.html

報道の解説を一部コピペ
厚生労働省は2015年の通常国会で「残業代ゼロ」制度を導入するため、労働基準法の改正を目指す方針。
新たな労働制度では、労働者に原則として残業代が支払われなくなり、成果によって報酬が決まる。この制度の対象者は全ての労働者ではなく、厚生労働省は「対象となるのは高度な専門職で年収1000万円以上」という大枠を示しているが、年収の詳細と対象の職種をどこまで広げるかについては経営側や労働組合の代表者らで構成する審議会が検討中で、1月中に結論をまとめる予定>

 このタイプの報酬制度は1920年代も日本で論争があり、最も非人間的な賃金形態とされたもの。「雇用の流動性』幻想には本当にげんなりする。経済学者も幼稚すぎ。この種の手口は派遣労働のときにさんざん経験したもの。初めは分野は年収などで区切っても、そのうち全面的になる。この件に関しては、経済学者の通例に反して、断固反対する。

 金子洋一さんが指摘してたが(僕も同じ意見)、実際の労使の現場では、経営側の交渉力の方が個々の労働者に対しては圧倒的に上。それに加えて対象範囲も将来的に拡大する懸念が強い。

https://twitter.com/Y_Kaneko/status/551313911245312000

なお、労使間の交渉力理論については、以下の片岡剛士さんとの対談動画など参照されたい。
対談「リフレと再分配の政治経済学」(片岡剛士&田中秀臣)

理論編 

第一回http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20140426#p4

第二回http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20140427#p1

第三回http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20140503#p2

第四回http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20140504#p2

思想史&現状分析編

第五回 http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20140510#p1

第六回 http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20140511#p2

また上記で「雇用流動化論の幻想」についてふれてるが、より正しくは成果主義への批判につながる。これについては、下記の著作を参照のこと

日本型サラリーマンは復活する (NHKブックス)

日本型サラリーマンは復活する (NHKブックス)