イ・ビョンフン『チャングム/イ・サンの監督が語る韓流時代劇の魅力』

 これは面白い。昨日とりあげた韓流本があまりな出来だったので愕然としたが、これは韓国のテレビドラマがどのような環境でつくられていくのか、そして時代劇がいかに新生していったかを、ワーカーホリックで神経質ぽい(笑)監督が語った同時代史として読める。従来、『冬のソナタ』で著名なユン・ソクホについての本を何冊か読んだことがあるが、いまいち淡泊すぐて現場の熱気が伝わらなかった。これは過剰労働と寝不足と低賃金重労働のエキストラたちwの記録としても面白い。またこのイ監督の情熱のありかや、スキャンダルで沈没した女優への「愛」も伝わる。『チャングム』はとばしとばしで半分ほどその昔みて、いま『イ・サン』をとばしとばしで見ている。そんな薄い韓国時代劇視聴者にも役立つ好著。