『ゼロ年代のすべて』

 最近は忙しくてブログの更新が御留守でしたがまた頑張って更新したいと思います。さて相変わらずの宇野的ワールドに染まった一冊ですが、とりあえずシノドス組(荻上チキ、飯田泰之芹沢一也)の「「選挙のあと」に読んでおけー2010年代の政治観察マニュアル」が一番重要でしょう。他の記事は僕はガイドブックとして読むことにしました。ただマンガがあまりにも偏っているような気がする。やはりマンガ、アニメ、テレビドラマ、音楽、映画とすべての分野をバランスよく網羅し、それを宇野氏が仕切るという構造自体に無理があって、これは抑えてるだろう、というものがないまま。彼がとりあえず観たもの読んだものが中心の企画という、まあ、そういう意味でのゼロ年代のサブカルの「網羅」にすぎないでしょう。例えば谷口悟朗氏へのインタビューはかなりかゆいところに手が届く仕様で、谷口氏の作品世界を観る上での最重要なテキストになっていますが、映画やマンガ(これらは僕もそこそこ詳しいので)は、基礎的なものを読んでない観てないのではないか、という可能性があるでしょう。まあ、それでも宇野ワールドに浸りたい人はそれでいいのでしょうけど。

 さて荻上さんたちの座談会ですが、 民主党でも他の政党でも、飯田さんがまとめてますが、「まずリフレ、そして規制緩和セーフティネットの両建てで問題に対応していかなければならない」ということに尽きるでしょう。しかしどの政党もなぜかこの図式を採用するところは(口ではいってても)実行するところはなし。特に日本銀行が事実上ノータッチのままなのはいまも相変わらずです。

 景気は着実に回復している(その予測は普遍)とか総裁はいっているが、それが本当ならば従来の日本銀行の見解(デフレは実体の悪化により貨幣的原因ではない)からすれば、先月のあわててやったデフレ対策はいったいなんなのか? これだけ分裂した見解に政府もマスコミも沈黙きめこんでいるとはよほどお気楽な身分といえます。