石渡嶺司・大沢仁『就活のバカヤロー』

 かなり期待して読んだんだけども、正直使えない。たぶん就職市場の「本当の姿」を面白いエピソードを豊富にそれらしく描いているんだろうけれども、例えば大学関係の記述については、いかにも表面的なものでしかない。
 本書のまとめによると「多くの大学関係者は、就職支援を風俗・スキャンダルの類より恥ずかしい存在と考えます」としているが、本当にこの本がいまの大学で就職支援に携わる教員の問題意識をフォローしているつもりだとすれば、少なくとも僕の認識からははるかに遠い。そういう意識をもっている人たちもいるのかもしれないが、実際に見たことがないのでコメントしようがない。こういう過剰な表現でなんらかの問題を摘出したことになるのだろうか? まあ、それでも就職市場のいまふうな全体像はこうなんだ、と納得したい人にはいいのかもしれないけれども。実際に僕がこれを学生の就職支援のたしにできるかといえばほとんどない。

 代替的に以下のエントリーで紹介した本とかの方が「つかえる」。

・就職用図書リスト

 http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080201#p5

・こんな「就活本」は買ってはいけない!―時間とお金を無駄にしない賢い本選び

 http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20070523#p3

波頭亮『就活の法則 適職探しと会社選びの10カ条』

 http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20071215#p4


就活のバカヤロー (光文社新書)

就活のバカヤロー (光文社新書)