川原和子さんから献本いただく。どうもありがとうございます。野中さんは書評がうまいね。突出はしてないけれども手堅く書かれている感じがいい。何冊か未読のものを読む気にさせるだけで書評としては成功しているでしょう。
同書はここhttp://lilmag.org/で購入できます。この本は買っておいて絶対に損はないと思う。いまいちいろんな「この漫画がすごい」類のベストに乗り気でなかっただけにその代替としておススメ。国際的な視点も含めているのもいい。これを読むとおっさんがいまのメジャーな漫画史観を牛耳っていることの罪を悟るだろう。
川原さんたちも参加しているアンケートに負けじと、おっさん46歳が選ぶ2007-8年(去年の3月から今日現在まで)コミックおよびコミック必備品ベスト10プラスアルファ。順不同。自分でいうのもなんだけどただの経済学者とは思えぬ選球眼 笑。
1 丸尾末広・江戸川乱歩『パノラマ島綺譚』‥‥すべての乱歩作品を丸尾で読みたい。
2 Love on the Racks: A History of American Romance Comics作者: Michelle Nolan ‥‥畏怖すべき実証的徹底ぶり。彼女に匹敵するコミック研究者はちょっと日米ともに見当たらない気がする。ほとんど日本では無視されているが、この業績はちゃんと日本のコミック評論家も自国との差異を含めて論評しないといけない、と思う。してたらごめん。
Love on the Racks: A History of American Romance Comics
- 作者: Michelle Nolan
- 出版社/メーカー: McFarland Publishing
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3 Wonder Woman, Love and Murder (Wonder Woman (DC Comics))作者: Jodi Picoult, Terry Dodson, Drew Johnson, Various ‥‥定番。アメコミでただひとつシリーズを追い続けるつもりのもの。
4 米沢嘉博『戦後少女マンガ史』‥‥これは参考になりまくり。続作(『戦後SFマンガ史』『戦後ギャグマンガ史』)の復刊キボンヌ
5 よしながふみ『大奥』‥‥定番。稲葉さんに教えてもらう。
6 マルジャン・サトラピ『ペルセポリス』Ⅰ&Ⅱ‥‥去年読んだコミックの中で一番僕にはフィットした秀作。ただし映画はちょっと見るインセンティブがもてないまま今日に。
- 作者: マルジャン・サトラピ,園田恵子
- 出版社/メーカー: バジリコ
- 発売日: 2005/06/13
- メディア: 単行本
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7 槇村さとる『Real Clothes』‥‥これは川原さんに教えてもらい、ツボにはまった新刊もあとでよも。
8 ダビッド・ベー『大発作』‥‥『ペルセポリス』と並ぶくらい重厚な作品。
9 横山裕一ワールド『NIWA』と『トラベル』‥‥両方ともすごい、としか形容できない。ソレルスの小説の漫画化のよう。ただし周囲の学生に読ませたら全員、ノン! がっくし。
- 作者: 横山裕一
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2006/04/01
- メディア: コミック
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10 エイドリアン・トミーネ Shortcomings ‥‥主人公はベン・バーナンキと田中秀臣の親戚、ベン・田中です。
- 作者: Adrian Tomine
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11 島田虎之介『トロイメライ』&『東京命日』&『ラストワルツ』‥‥この三連作もすごいと思ったが、やはり横山作品同様に学生には全員に、ノン! をくらって、がっくし。僕にはいま周囲に同じ趣味のコミック愛好者が必要かもw
12 中野晴行『謎のマンガ家・酒井七馬伝』‥‥賞もとられておめでとうございます。歴史研究をした経験あれば一読瞭然のたいへんな実証的労作。